女王蜂の王房 輝夜編

2014

『女王蜂の王房 輝夜編』は2014年にWIN用として、PUREWOOLから発売されました。

18禁乙女ゲームの中でも意欲作であり、気高く強くあろうとする主人公の輝夜が、たまらなく好きな作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・ヒトを支配し、喰らい、数百年の寿命を保つ【蜂】。
天空にそびえたつその【巣】を維持する、我ら蜂の礎となれ――。

王位継承者である主人公・輝夜は数年前、崖から落ちて死んだ――とされていた。
実際には彼女は生きていた。
女王に声をかけられなかったオス達の憂さ晴らしとして、今夜も陵辱され続ける。
悲劇的なことにそれは周知の事実だった。
母たる女王もそれが娘の果たす責務だと、そう考えていたのかもしれない。
しかし時は満ちた。
女王の死期が近づき、輝夜は頭上にそびえる王城へ反旗を翻す。
女王にふさわしきは、輝夜か、あるいはめのうか。
輝夜にふさわしきはその血か、許しか。
愛と憎悪の狭間で輝夜は苦しむことになる。
ヒト、蜂、女王の思惑が交錯する中、血塗られた歴史の上に、ひとりの少女の物語が開幕する――!

<ストーリー>

本作は女性向けの、いわゆる18禁乙女ゲームになります。
女王蜂の王房には「めのう編」と「輝夜編」の2作があり、同一時間軸上の物語を、それぞれの視点から描いた作品となります。

ストーリーとしては、片方だけでのプレイでも話が通じますし、両方プレイする場合にも、どちらからでも大丈夫なように一応なっています。
もっとも、先に発売された「めのう編」が基礎にあり、「輝夜編」はその補完ないし裏側といった感じでもありますので、できれば「めのう編」からプレイした方が良いのかなと。
また、本作の主人公である輝夜にしても、「めのう編」をプレイした後の方が魅力的に感じられると思いますので、「輝夜編」を心底楽しむという観点からも、「めのう編」を先にプレイして欲しいように思います。

さて、「めのう編」の主人公であった「めのう」のライバルであり、そもそも、それ以前に「めのう」のずっと憧れの存在でもあった「輝夜」。
本作では、その輝夜が主人公となり、彼女の視点で描かれます。
めのう編での輝夜は、強くて凛々しい女性として振る舞っており、めのうの視点からはオールマイティな存在として捉えられています。
しかし実際の輝夜は、決して常に完璧な存在ではありませんでした。
幼き日に下界に落とされ、人間や雄蜂らの慰み者として陵辱され続け、一番の底辺からまた這い上がってきたのです。

そもそも、これはめのう編の感想でも書いたのだけれど、本作にはプロット・設定に少し難がありまして。
それで本来なら長所になりえそうなはずの独特の世界設定も、長所になりえないという惜しい側面もあります。
そのため、きちんと整合性のとれた設定でないと駄目っていう人には、このシリーズは合わないかもしれません。

プロットにおけるマイナスは理解した上で、その設定の中で、どん底の現状から抜け出そうと懸命にもがく輝夜の姿、生きるために強く気高く猛々しくあろうとする輝夜の物語としては、個人的には良かったなと思うわけでして。
時にはSっぽく、時にはMっぽくと、様々な表情を見せつつ懸命に生きようとする輝夜が、たまらなく好きでした。
つまり本作は、プロットは悪いけれどストーリーやキャラが良いというパターンになりますね。

ところで、本作には結構暴力的なシーンが多いです。
そもそも、攻略対象が変態ばかりですし。。。
中には、皇樹のような、マジキチもいますしね。
本作は乙女ゲーとされてはいますし、確かに女性向けの作品ではあるものの、乙女ゲーと言うのはどうかと思うわけでして。
だって乙女ゲーというと、女の子の主人公が男性キャラと恋愛に陥るもので、当然素敵な男性を望むユーザーが多いわけでしょ。
それなのに、マジキチやら方向性の異なるマゾ2人やら、ハッキリ言って全然まともなのいないし。
これ、男性向けで例えると、ヒロイン全員ヤンデレみたいな作品ですからね。
自分が輝夜になって誰か選べと言われても、それはちょっと勘弁してよって思ってしまいます。
まぁそういう作品なので、何も知らないで普通の乙女ゲーを求めて購入したような人に合うわけがなく、その意味で、どうしても人を選んでしまうのでしょう。
そんな変態どもの中でも突出しているのが皇樹で、シーンによっては輝夜の子宮を抉り取ってしまいます。
したがって、本作は、鬱・リョナ・グロに耐性がないと駄目な作品なのです。

そしてここからが肝心なのですが、本作にあるグロCGは、確かに乙女ゲーとしては過激なのですが、CG単独では男性向け作品のハードなグロCGほどではないのです。
じゃあ、物足りないのかというと、結論は反対なんですね。
グロCGって言っても、今は検索かければすぐに何枚も見つかる時代です。
単なるグロ画像とゲーム内のCGが異なる点、そしてゲームCGの方が優位に立てる点があるとするならば、それはそのCGを見るまでにストーリーがあり、一枚の画像にストーリーによる重みを増すことができるところにあります。
しかし近年の男性向け作品の場合、そのCGを見せるまでの描写が薄っぺらいものばかりでして。
これグロいだろ、凄いだろ、インパクトがあるだろと、CGを見せることだけが目的になってしまっていて、CGに描かれたもの以上の重みを感じられないのです。
だから近年のグロ描写のある男性向け作品に対し、私は厳しめに語ることが多くなってしまっていたのです。
本作は、そのグロCGのインパクトそのものよりも、そのCGを通して伝わってくるキャラの内面、すなわち、そんな行為をするキャラの心理・存在の方が強烈であり、単なる一枚のCG以上の重みを感じるのです。
こういう気持ちになれる作品は、近年では本当に久しぶりですね。
だから私は、その点を高く評価するのだけれど、言い換えれば一つ一つの鬼畜行為よりも、皇樹らの存在そのものの方がやべぇよって話になるわけで。
だからキャラに感情移入ないし自分が理解できるかという観点で考える人だと、何このマジキチわけわからんとなり、否定的になるのでしょうね。
まぁ、私は暴力は嫌いなので他人に暴力こそふるいませんが、皇樹の気持ち自体は凄く共感できるように思ってしまいますが。
うん、たぶん、人に言ったらドン引きされそうですけどねw

ところで、本作は乙女ゲームなので、女性である主人公と男性キャラが結ばれるのですが、実のところ、めのうにとって一番大事なのは輝夜だし、輝夜にとって一番大事なのも、めのうなんですよね。
この関係を百合といえるのかは、定義次第で意見が分かれそうなところではあるのですが、仮に本作に百合ENDがあるならば、それこそが一番ハッピーエンドだったようにすら思いますし、そこは意見は分かれないように思います。
実際の本作には百合ENDこそないものの、ゲーム内で二人が抱き合って分かり合うシーンがあり、そのシーンは凄く良かったです。
そのちょっとした百合妄想を抱かせる要素は、女性ユーザーに喜ばれるのかは分かりませんが、少なくとも個人的には、とても嬉しかったですね。

<グラフィック・システム・サウンド>

大雑把な印象は、めのう編と同じですね。
乙女ゲーとしては珍しく、痛々しいグロいCGがあります。
もっとも、上記のようにCGそのものがきついというよりも、そのCGを通して伝わってくるキャラの怖さの方が、強い印象を与えてくるように思います。

それと、めのう編に続き、こちらもOPが良かったですね。
歌詞と映像をリンクさせようとしている姿勢も好印象です。
めのう編のOPは初見のインパクトが凄かったけれど、こちらはじわじわと見る度に好きになっていく感じです。

Ritaさんの歌う主題歌の「堕天の戀」のフルバージョンを聴いたところ、あまりに好きすぎたので、最後に聞き取った歌詞を記載しておきます。

それにしても、サウンドというか、音声の話になりますが、変態キャラが多いからでしょうか。
何だか絶叫が多かったようなw
声優さんも大変だな~と、こういう作品をやるたびに思ってしまいます。

コンフィグ等のシステム周りも、非常に良好です。
これは「めのう編」でも書いたのですが、CGとかエロシーンとか、システム周りの方向性であるとか、全体的に男性向けのアダルトゲームっぽい雰囲気でして。
正確なところは知らないのですが、本作のバックボーンは女性向けのゲームではなく、むしろ男性向けアダルトゲームのように思います。
そのため、その男性向け臭さに抵抗や違和感がある女性プレイヤーも、少なからずいるように思いますし。
逆に、男性プレイヤーは違和感なく入っていけるのではないでしょうか。
男性向けでも、女性主人公のダーク系作品ってありますし、その雰囲気と本作は似ていますからね。

<評価>

プロットの一部に難があることは「めのう編」の段階で分っていたので、一体どうなることやらとも思いましたが、「めのう編」だけでなく「輝夜編」までプレイして、本当に良かったです。

2分割と言うと良くないイメージを抱く人もいるかもしれませんが、このシリーズはミドルプライスであり、両方買って普通のフルプライス作品1本分のようなものですからね。
できるだけ、こちらもプレイしてもらいたいものです。

プロット以外の部分は、どこも長所と呼べるくらいに良い作品ですし、トータルで考えるならば、十分名作と呼べるのでしょう。
皇樹ら男性キャラは、この年一番インパクトがありましたし、主人公輝夜は、この年で一番好きなヒロインであることはもちろんのこと、ここ10年でも最も好きかもしれないくらい、お気に入りのヒロインです。
粗もあるけど、インパクトは抜群で、全体としては非常に印象深い作品でしたね。

ランク:A(名作)


女王蜂の王房 輝夜編
DVDソフト女王蜂の王房 輝夜編

<堕天の戀>

命の波動が潰え 明けぬ夜彷徨う あの日の薔薇の名を 問おうこの唇で
痩せた首に 君がそっと指絡める 憂い帯びた眼に 初めて光が射した
愛と嘘を知って 更に偽り重ね 私が狂うのを その眼に留めておける?
壊れた番の蝶 貪り何処目指す? いつか見た我が砦 亡骸探し行く
射干玉の髪乱し 今宵演じる狂乱 華麗に舞う蝶の 翅を撃ち抜いて
雲の切れ間に見える 厭わしい奈落 「あの花、綺麗」 君が指差したから
傷痕を数え 堕天の苦痛に喘ぐ 褪せた夢の防人 息絶えるまで
砕けた贄の楔 髑髏と血の結末 宿命なら酌み交わそう 共に堕ち耐えようと
忘れぬ無垢な未来 蝋で築いた翅 太陽に灼かれても 立ち止まりはしない
飛ばない番の蝶 愛に揺れる瞳 君に近付けない 幾度口付けても
崩れた番の蝶 錆びた針動き出す ただ君と見つめるのは 紛い物の愛でいい

Last Updated on 2024-10-31 by katan

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