『Fate/hollow ataraxia』は2005年にWIN用として、TYPE-MOONから発売されました。
『Fate/stay night』の後日談も扱ったファンディスクになります。
<概要>
『Fate/hollow ataraxia』は、2005年のアダルトゲームの中で最も売れた作品でした。
年間売上第1位がファンディスクというのは、アダルトゲームの歴史の中でも初になるのでしょう。
総売上では、現在では『Fate/stay night』が最高かもしれませんが、それ自体は個人的にはあまり意味がないと思っています。
野球で言うならば、飛ばないボール時代に生まれた記録を、ラビットボールに変えて更新みたいな感じですからね。
PCが普及しきった頃に出てきた作品の本数が多いと言われても、大した意味はないと感じてしまうのです。
しかしながら、年間売上1位にファンディスクがなったということは、これは一つの事件だと思うわけでして。
2005年には『智代アフター』もありましたし、個人的にはファンディスクが熱かった年だなという印象がありますね。
さて、本作はファンディスクですから、当然ですが『Fate/stay night』からプレイしてください。
<ストーリー>
繰り返される4日間ということで、何だか『歌月十夜』を思い出しますね。
本作は後日談であると同時にファンディスクでもありますので、ストーリーそのものよりもキャラとの日常に力が入っています。
方向性が異なりますので、何を求めるかでも感じ方が変わるのでしょう。
本編のストーリーがとにかく好きな人だと、今作は少し物足りないのだろうなと思います。
しかし、私のような人間の場合、すなわちキャラは好きなんだけど、本編のストーリーやテキストはイマイチって感じた人ですと、むしろ今作の方が肌に合うのですよ。
今作はキャラの日常部分が増えましたし、他方で無駄に長い描写も若干減ってストレスも軽減されましたし、首を傾げたくなる展開も減りましたからね。
<ゲームデザイン>
ゲームジャンルはノベル系のADVになるのですが、マップ上から移動場所を選択するタイプになります。
また、花札や風雲たけし城もどきのミニゲームなどもあります。
<グラフィック・サウンド>
この作品をプレイして真っ先に抱いた感想は、「古臭いな」というものでした。
上記のマップ上から移動先を選ぶという構造自体、90年代後期に多く見られたパターンですしね。
それに加えて、このグラフィックとサウンドです。
まずサウンド面では、2005年の商業作品でありながら音声がありません。
次にグラフィックですが、相変わらず画面全体をテキストで覆うタイプです。
『Fate/stay night』の時は今作よりも1年半も早いですし、まだギリギリ音声なしも許されるかなって気もしました。
また、エフェクトに新鮮さがあったので、そういう部分も含めてトータルでは満足できたんですよね。
しかし1年半経って、それでほとんど進歩していないのですから、新鮮さなんてなくなってしまい、余計に他の部分が目立ってしまいます。
テキストをクリックで読み進め、たまに出てくる選択肢を選ぶというノベルゲー自体は、80年代からあります。
長い変遷の中で、テキストをどのように表示するのか、様々な試みがなされてきました。
画面下部にテキスト欄を配置したり、またその量も3分の1だったり、半分ほど占めたり、全体をテキストで覆ったり、噴出し式で場所を固定しなかったりと、いろいろあります。
結局は画面下部に3行ほどの欄を設けるスタイルが常に多数派ですが、必ずしも多数派が最高とは思いません。
作品毎に最適なレイアウトは異なるでしょうから。
ライターの文章を読ませたい、絵は要らないというのであれば、全画面を覆うタイプもありなのでしょう。
しかし「美少女」の出てくるアダルトゲームにおいては、全画面を覆うタイプは、あまり適していないと思います。
ましてや本作はエフェクトも含め、グラフィック部分も特徴足りえるのですから。
もう少し配慮の余地はあるし、実際にいろいろ工夫する作品もある中で、安易に全画面を覆う形式にするアダルトゲームなんてのは、思考の放棄でしかないと思うわけでして。
一つ一つならまだ気にもならなかったかもしれませんが、上記の様々な要因が重なることで、とにかく古臭いゲームだなと。
同人上がりで絵とシナリオにしか頭が回らないのかもしれませんが、TYPE-MOONの底の浅さを露呈した作品でした。
<評価>
本編より自分好みの作風になり、ある面では非常に楽しめたものの、また違う部分での問題や限界を感じた作品でもあり、何か複雑な気分になった作品でしたね。
そのため、総合では凡作とします。
この時点でゲームブランドとしてのTYPE-MOONには興味を失ったのですが、他方で、キャラはやっぱり好きなんですよね。
そんな私にとっての最高のTYPE-MOON作品は、『カーニバル・ファンタズム』だったりします。
ランク:D(凡作)

Last Updated on 2026-02-11 by katan


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