Lの季節

1999

『Lの季節』は1999年にPS用として、トンキンハウスから発売されました。

主題歌の「手ごたえのない愛」とOPが非常に印象的な作品でした。

<感想>

まずは私の率直な感想から。
何だかんだで私もかなりの数のギャルゲーや、恋愛系のアダルトゲームをやっていますが、その中でも本作はいたって普通なんですよね。

ほぼ全ての項目で、平均をやや上回っているだけって感じで。
ノベルゲーとしてみた場合、欠点も全くないのだけれど、かと言って極端な長所もあまりないみたいな。

そんな中でOPだけが他よりも群を抜いて良かったので、いつまでも深く印象に残ったりもしているわけでして。
それが決め手となって名作と判断しているわけです。

このOPは本当に秀逸でしたね。
アニメも凄く高画質だったし、ぽよよんろっくさんの可愛いキャラと、主題歌である「手ごたえのない愛」が実にマッチしていました。
この曲はもともとDEENのシングルとして発売されたのですけど、本作では作詞・作曲を手がけた小松未歩さんが歌っています。
また違った魅力で出ていて、とても良い感じに仕上がっています。
OPだけでも一体何回見たことやら・・・
それくらいお気に入りでした。

さて、私が感じたことは周りでも同じだったようで、皆どの要素も中~中の上って感じだなって言ってました。
強烈な印象を与える要素が少ないので、クリア直後から絶賛って人はまずいなかった気がします。
この手のゲームを多くやってる人は、おそらく似たような感想の人が多かったのではないでしょうか。

しかし、どうにも不思議なものですね。
作品の有する独特の雰囲気が凄く良かったのが大きかったのでしょうか。
クリア直後はそれ程盛り上がらなかったのに、数年経ってあのゲーム良かったよね~ってふと思い出しちゃうような、そんな作品でもありました。
後からじわじわくるタイプの作品ってことなのかな。
それはそれで、中々ない珍しいタイプの作品と言えるでしょう。

また、本作にはもう一つの側面があります。
ギャルゲーの類って私は好きだけど、逆に嫌いな人も当然ながら一杯います。
名作と呼ばれる作品をいくらすすめても拒否されたり、プレイしても面白さを理解してもらえない場合だって多いでしょう。
これはもう、個々人の感性や趣味の違いもありますからね、無理に説明したところでどうなるものでもありません。

だけど、何でだかは分かりませんが、そういう普段ギャルゲーをやらない人にも、本作だけは妙にうけたりするんですよ。
他のは全くうけつけないけどこれだけは別だとか、何本かやってみたけどこれが一番良かったとか。
一般受けするというのが適切な表現になるのでしょうか。
本作は普段ギャルゲーをしない人には凄く好まれやすいようです。

いろいろとゲームをやってきましたが、こういう経験は稀です。
何で今になって私の記憶に深く蘇ってくるのか、何でギャルゲーを嫌う人でも本作だけは平気なのか。
その理由がギャルゲーに毒された私には、いあみちハッキリしないんですけどね、まぁこういうケースもあるってことなのでしょう。
そういうわけで、ギャルゲーとかの経験がない人に薦めるとしたら、これあたりが良いのかなって思ったりもするのでした。

さて、本作のゲームジャンルはノベル形式のADVになります。
本作は途中の経過も含めると、かなり分岐の数が多いです。
これだけだといたずらに難易度が高くなるおそれもあるのですが、ルートがマップで表示されていることから、悩みつつも自力でクリアできる調度良いバランスとなっていました。
単に難しいのではなく、難易度の高さがやり応えに繋がるタイプの作品でしたね。
私はノベルゲームにはこの機能こそ必須だと思うのですが、なかなか標準装備されないんですよね。
必ずしも斬新とは言い切れないので大きな加点にはなりませんが、他が実装していない便利なシステムでもあることから、これはこれでそれなりに評価されて然るべきなのでしょう。

システムとして他に特徴的なのは、IPS「口出しシステム」になるでしょうか。
プレイヤーが干渉することで選択肢に変化が現れ、更なる分岐をもたらしてくれます。
この発想は良かったし今後にも期待できるのですが、本作では魅力と呼べるほどには成熟してなかったのが残念でした。
ここが上手く機能していれば、或いは傑作評価もありえたでしょうにね。

ストーリーは現実世界と幻想世界の2つの世界と主人公が存在し、それぞれの物語を進めていくことになります。
面白い設定というか、ありそうでいてあまり見かけない設定ではありましたね。
標準以上には面白く、普通に楽しめました。
・・・が、冒頭でも書いたようにあくまでも「普通に」なんですよね。
いわゆるストーリー重視派が納得するほどのものがあったかとなると、若干首を傾げざるをえないのかなって。
どちらかというと、雰囲気を楽しむ雰囲気ゲー的なところもありましたしね。

他方で、雰囲気ゲーとして考えると、これがかなり良かったりするわけでして。
OPから始まり、とにかく一貫して雰囲気が良いんですよね。
小難しい事を抜きにして、プレイヤーが楽しめた時間を重視するならば、これは結構ポイントが高いのかもしれません。

<評価>

総じて、ありきたりなノベルゲーでは終わりたくないという、製作陣のそんな意気込みが伝わってくるようなこだわりがゲームの随所で見かけられます。
そういう意味では、私好みな作品でありました。
ただ、若干空回りしている面も多く、決定的な長所と言うには何か足りないところばっかなんですよね。
それで結局、水準よりは上ってあたりで止まっちゃうわけで。

完成度が高いようでいてどこか粗い作品ではありましたが、様々な試みや秀逸なOPは一見の価値がありますしね。
トータルで見ると、なかなかに個性的な名作だったのではないでしょうか。

ランク:A(名作)


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Last Updated on 2025-01-11 by katan

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