闇の稜線

1994

『闇の稜線』は1994年にPC98用として、イリュージョンから発売されました。

毛色の異なる孤高の存在。
2Dであっても、イリュージョンは、やっぱり他とは違うのです。

<ストーリー>

車が崖から落ち、瀕死の重体となる主人公。
物語はそこから始まります。

次に目覚めたとき、主人公は美人親子に助けられたことを知るのですが、何故事故にあったのか思い出せず、軽い記憶喪失になっています。
何故自分は事故にあったのか、失われた時間を取り戻す主人公の苦闘がここから始まります。

まず思い出したのは、主人公に彼女がいること。
彼女である真由美と、真由美の父の別荘へ旅行に出かけ、その旅行が終わったら結婚の許しを得るため真由美の父に会う予定でした。
しかし、別荘に着いた瞬間、何者かに襲われてしまいます。
そこで真由美は犯され、殺されてしまうのです。
新聞で真由美の死を知った主人公は、同時に自分が犯人に偽装されたことを知り、真実を求めることになります。

という辺りが、大まかな流れになります。
この段階で、もう終盤に入る辺りですね。
あとは真相が待っているだけです。
最後の方で連続で質問攻めにあいますので、もしプレイするつもりの人がいるならば、別荘に何時についたかなど、要点をメモっていた方が良いです。
そうでないと、攻略が厄介になりますから。

真相は一応控えておきますが、本作は、ベースはサスペンスでありつつ、上記のように寝取られ(NTR)ゲーでもあります。
そして真相を知ることで、更に鬱になれます。
ぶっちゃけこれ、かなりな鬱ゲーなんですよね。
後述しますように、本作のグラフィックは劇画調であり、そこにきての寝取られありの鬱ゲーですからね。
かなり人を選んでしまうかもしれません。
個人的には結構楽しめたのですが、これは売れないよな~って思ったりも。
鬱ゲーブームの何年も前の作品なので、本作がどういう作品かすらも認識されていないように思いますが、その類の作品が好きな人向けと言えるでしょう。

<ゲームデザイン>

ストーリーだけでもインパクトがあるのですが、それよりも異質な感じを受けたのは、ゲームデザイン・システム部分でしょうか。
ジャンルは一応、コマンド選択式のADVになるのかなと。
「みる」「はなす」のような汎用のコマンドはなく、その場に応じた個別の選択肢が登場します。
そのため、見た目はノベルゲーっぽくあるのですが、同じ選択肢を繰り返す必要のある場合がありますので、構造的にはコマンド選択式になるのでしょう。

大筋としては一本道になるのですが、たまにゲームオーバーがあります。
もっとも、ゲームオーバーになった場合は直前に戻されますので、攻略自体はきちんとメモをとっておけば比較的容易と言えるでしょう。
ただ、この時期のADVにしてはコマンド数は多めでもあり、ちょっと面倒臭いかもしれません。

さて、ゲームデザインで何が異質だったのかというと、通常はテキスト→コマンド選択→テキスト→コマンド選択・・・って続きますよね。
ノベルゲーは、このコマンド選択部分が選択肢の選択になりますが、構造自体は一緒だと思います。
つまりコマンド(選択肢)が表示されている間、こちらが操作しなければ画面に変化が生じないのが大抵のADVなのです。

本作は、コマンドが表示されている場面で放置していると、会話場面だと相手から話しかけてきます。
そしてセリフが終わると、また元のコマンド選択画面に戻ります。
こっちがコマンドを選択しない、即ちしゃべらないのなら、「どうしたの」とかって向こうが話しかけてくるわけです。

これはデメリットもあって、こっちがコマンドを選択する直前に話しかけられてしまうと、コマンド選択が寸断されてしまいます。
プレイヤーのテンポが損なわれるおそれもあるということで、慣れないと若干違和感が出てしまいます。

しかしながら、それはこっちがぼけ~っとしているから悪いのであって、通常のADVよりも自然な会話を成立させた本作のシステムは、個人的には良い発想だと思いました。
擬似リアルタイムとでもいうのでしょうか、リアルタイムではないのでプレイヤーのタイミングで最終的には選べるという、非リアルタイムゲーの良さも残しつつ、リアルタイムゲーの良さも兼ね備えたということで、上手く調整すればもっと化けたのかなと。
まぁ面倒臭いのでリアルタイムにしちゃった方が楽かもしれませんけどね。
イリュージョンは後に3Dのゲームが中心になりますが、同時にリアルタイムっぽいゲームも増えていきます。
その兆候は、2Dだったこの当時から見てとることはできたということですね。

それにしても、ときどき考えてしまうのですよ。
画面クリックタイプであるとかコマンド選択式であるとか、こちらが動作をする機会の多いゲームは、インタラクティブな反応とあまり相性が良くありません。
しかし、インタラクティブムービーとかノベルゲーとか、見ている時間の長い作品に関しては、選択肢におけるインタラクティブ性を向上させても良いと思いますけどね。
サターンのゲームとかで、これはと思う作品もありましたが、その後は逆に退化してしまっているようで。
全てが静止した中での選択肢選びって、一体何年続ける気なのでしょうかね。

本作はそれに加え、システムの名称は確かRAMSだったかな・・・
ちょっと細かい部分は忘れてしまったのですけれどね。
目パチとか動きがある上に音声も部分的にあり、そこにマウスの動きを連動させたのは当時としては凄かったのかなと。
つまり、ナニの出し入れのピストン運動とマウスの動きを連動させ、それに応じて音声であえいだりするんですね。
まぁ凄いとは思いつつも、かえって面倒ではあったのですけれど。
だって、さっさとHシーンを飛ばしたいのに、女の方でもっともっとってねだってくるし、いかせるためにマウスをぐりぐり動かさなければならないですからね、
現実のHシーンにも似た面倒臭さが生じてしまうのです。

<感想>

その他の要素としては、本作はPC-98の作品ではあるものの、一部では音声がついていました。
グラフィックは劇画調であり、最近では見かけない絵柄ですね。
当時としても人気路線の絵とはかけ離れているように思うものの、グラフィックのレベル自体は非常に高いです。
冒頭で死にかけている主人公の胸が上下するところなどは、迫力と緊迫感があり、これは凄いなと思ったものです。

他にも目パチは当然ありますし、それにとどまらず、画面が非常に良く動くのです。
下の画像でも、実際は女性の髪が風でなびいています。


これは非常に良かったですね。
ただ、こまめに動くこと自体はとても良かったのですが、手間を抑えるためでしょうか、CG画面が小さいのですよ。
一枚絵は画面全体を使い非常に高品質なのですが、通常時のカットインでのグラフィック部分が小さいのです。
コストや手間を考えれば仕方ないのかもしれませんが、ちょっと残念でしたね。

そういう作品ですので、通常時は背景画像の上に、画面中央辺りに小さめのグラフィック枠が別途用意されてあり、画面右下にテキスト欄が配置されています。

他方で作品の性質上、回想シーンも多めなのですが、その回想シーンなどはグラフィックの上に全体にテキストが表示されます。


なお、私はゲームシステムの構造から判断して本作をコマンド選択式としています。
しかし、90年代後半には、構造的な区別がつかず、見た目やテキストの表示方法で判断する人もいたわけでして。
ブランド側でも、後の他所のある作品で、ADV+NVLと記載していた物がありました。
ADVとノベルの良いところを融合とか言うから、一体どんなのだと思ったのですけどね。
いざプレイしてみたら、通常時は画面下段にテキストが表示され、回想シーンでは全体にテキストが表示されているだけであり、やっていることは本作と全く同じなんですよね。
本作をノベルゲーと言う人は見たことがないですが、単に時期的に言い回しが異なるだけなのでしょう。

<評価>

注目すべき点の数だけならば、確実に名作・傑作クラスの本作。
下のパッケージ画像からして、今のエロゲと全然違いますし、これは一般的には売れないだろうな~と思いつつも、個人的にはかなり新鮮でしたし衝撃的でした。
必ずしも満点のシステムではないのですが、ここをこうすればとか、いろいろ考えさせられましたしね。
そういう経験は中々できないだけに、貴重です。

ただ、長所となりうる点も非常に多いものの、その長所の多くにはいろいろ問題点も含まれていますし、それに加えて動作が重かったです。
現在はその圧倒的な異質さから名作と再評価していますが、上記の欠点が気になる人は、良作以下になりうるでしょうね。

それにしても、あらゆる点で他のアダルトゲーとは異質な存在でした。
今では3Dゲー特化ブランドとして認知されているイリュージョン。
本作は2Dの作品なのですが、それでもイリュージョンはやっぱり他と違っていました。
この時期にこういう作品を作っていたら、そりゃ他所が翌年以降ロリな萌え恋愛ノベルを作り出しても、関係なく我が道を進むってものですよ。
見据えている先が全然違いますもん。
本作が発売されたのは94年であり、その翌年にイリュージョンは初の3D作品に挑みます。
その時は、あまりに人外なキャラに衝撃を受けたものですし、今風に言うならば、これって誰得だよって思ったものです。
しかし、最初は嘲笑の対象ですらあった3Dは年々進化し、時には迷走したり外部から圧力を加えられたりしながらも、根強いファンの存在もあり、イリュージョンは常に我が道を進んでいきました。
そうした後の製作スタイルが、この時点から既ににじみ出ています。
残念ながら、ストーリーやゲーム性は2D時代より退化してしまっており、それは私の好むところとは異なるのですが、イリュージョンは時に絶賛され、時に今回は駄目だと罵倒されながらも、これからも我が道を行くのでしょう。
様々な点で非常に印象深い作品でしたね。

ランク:A-(名作)


闇の稜線

Last Updated on 2024-10-07 by katan

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