群青の空を越えて

2005

『群青の空を越えて』は2005年にWIN用として、lightから発売されました。

この当時のエロゲでは珍しい架空戦記モノでしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
「あの子は君の目の前にあるあの大きな楠の木になったの」
幼い頃、子猫の亡骸を埋めながらそう教えてくれた隣のお姉さんは、三毛猫のような柄をした戦車に轢かれ今はその隣に眠っている。
「アンダルシアの雨は気まぐれで時折平野に空き缶が降る」
奇妙なシュプレヒコールと共に、いつも中身の入った空き缶を投じた向かいのお兄さんは、催涙弾の豪雨にうたれ街角で二度と動かなくなった。
明日は俺も歌うだろう。遮るもの一つ無い群青の空の彼方で。
「シュレーディンガーの猫は百年経っても決して死なない」
蓋を開けるまで、勝敗は判らない。
「俺たちは決して死なない。魂は永遠(とわ)に引き継がれるから」
叫んだ男は昨日死んだ。俺は彼の友ではないだろう。なぜなら俺は彼の魂が判らない。
引き継がれない魂を抱えて彼は死んだ。
「わたしたちの愛は永遠なの。変わらぬ愛をわたしは誓うから」
彼女が腕にぶら下がる男の背は昨日は低かった。変わらぬ愛は背を伸ばす。
永遠の愛は連れ添う相手を選ばない。
ならば俺も呟こう。力無き声をかき消されぬように。
「俺たちは絶対に絶対に絶対に負けない」言葉の時代が終わって、戦争が始まる。

<感想>

さて、冒頭で架空戦記ものとは書いたものの、確かに広い意味ではそうなのでしょうが、本質的には異なるのでしょう。
本作に対し、本格的な戦記ものを求めてプレイした人ほど、満足できないように思います。
本作は、少なくともそういう作品ではないです。
特に細かい設定を気にする人ほど、本作との相性は悪いのでしょう。

本作は戦記ものではなく、むしろ戦争中における青年たちの青春群像劇というふうに捉えた方が良いのでしょうね。
ライターが『僕と、僕らの夏』の方なので、こっち方面の方が得意なのでしょうし。
ただ、それなら青春群像劇としてなら楽しめるのかというと、それもまた微妙でして。
戦時中という制約があるからか、終始淡々と進む感じで、いまいち盛り上がらないのです。

それでいて本作の場合、妙に軍事ネタだけ濃いので、これが刺さらない人には、面白さも伝わらないように思います。
結局のところ、本作は、どういう方面から見ても、浅いのでしょう。

とはいうものの、本作が発売された頃は、恋愛系が凌辱系かみたいな感じで、特定のジャンルに偏っていき、物語のジャンルの幅がなくなってきた時期でもありました。
そんな中で発売された本作は、当時の主流路線とは異なる設定であることから、異端に見えたことでしょう。
そうなると、萌えや凌辱以外の要素を求めるライトユーザーには、刺さりやすかったのかなと思います。

ここまでの話は、ある意味、プレイヤーの主観に依存する話でもあります。
そこで、ちょっと別の角度からみてみたいと思います。
私がまず気になったのは、CG総数に占めるエロ画像の多さでした。
エロゲなんだからエロが多くて何が悪いという意見もあるかもしれません。
しかし、本作はストーリー重視の作品であるところ、イベントCGが少ないことから、CGがストーリーを盛り上げることにつながっていませんでした。
昔、エロゲにエロは要らんと言った人もいましたが、それは流石に極端だとしても、ストーリー重視作品はストーリーの大事な場面でイベントCGが用意されていることは大事だと思います。

次に、本作は、個別ENDをすべて見たあとに、最後にグランドルートが登場します。
こういう構造の作品は、大作感が生まれることから、ゼロ年代前半に好まれた構造でもあるのですが、オールクリア必須な構造は、合わない人に苦行を強いることになるため、好き嫌いが分かれやすくもあります。
本作の場合、淡々とした進行のため、それでなくても飽きやすいうえに、この構造であるため、必然的に合う合わないが生じやすいといえるでしょう。

<評価>

総合では凡作とします。

戦記ものの皮をかぶった青春群像劇のようでいながら、実は軍事ネタを描きたかっただけのような、そういう曖昧さが気になった作品でした。
一言で表現すると、ラノベっぽいのですが、グラフィック等がストーリーと相乗効果をもたらしているわけでもなく、ただ読んでいるだけという感じが強かったです。
結局のところ、ラノベで読ませてくれた方が早いよね、ゲームでやる意味なかったのではと感じてしまったことが、残念でした。

とはいえ、萌えゲーと抜きゲーしかないのかと思っているようなエロゲ初心者で、かつあまり普段は本を読まないようなライト層に、そうではないものもあるよと紹介しやすいという意味では、意味もあったかなと思いますね。

ランク:D-(凡作)


Last Updated on 2026-02-10 by katan

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