『山村美沙サスペンス 京都花の密室殺人事件』は1989年にファミコン用として、タイトーから発売されました。
タイトーの山村美沙サスペンスシリーズの第2弾ですね。
<感想>
タイトーのこのシリーズにハズレはないのですが、残念ながら前作と本作の2本しかでていないんですよね。
なお、本作は前作との間に直接のつながりはないので、前作をプレイしておく必要はありません。
他方で、私は未読なのでよく分からないのですが、山村美紗さんの著書である『花の棺』のトリックが、どうやら今作に用いられているそうです。
そのため、その辺で少し注意が必要なのかもしれませんね。
さて、タイトルからも何となく分かるように、本作では、お花の展覧会で起きた事件を主人公とキャサリンが解決することになります。
生け花の世界ということで、今回もいかにも京都って雰囲気が漂ってきますね。
山村美沙サスペンスということもあり、ストーリーは誰でも安心して楽しめる水準を保っています。
だから面白いかと聞かれたら、回答としては面白いとなるのですが、その反面、良くも悪くもTVドラマの延長上の枠内かなってところでしょうね。
次に、前作はFCにしてはグラフィックとサウンドが良かったのですが、この点に関しては、本作も同様に良かったです。
同じレベルの内容を楽しめたので満足はしたのですが、こっちは後発な分だけ周りもレベルアップしていますからね。
インパクトはどうしても前作より下回ってしまうのかなと。
ここまでは、ほとんど前作を踏襲した作りになっているのですが、変わったところがあるとすれば、それはシステム面になるのでしょう。
ゲームジャンルはコマンド選択式のADVですし、1日に必要なことをすれば次の日に進むという構造も一緒です。
しかし、前作と異なり、本作では、選べるのは必要なコマンドだけという、ノベルゲーに近づいた構造になりましたので、難易度は大幅に下がりました。
それをどう評価するのかは、あとはその人次第なのでしょう。
一時期は難易度が高いのがADVだという風潮もありましたが、それを履き違えて同じコマンドを無駄に繰り返させるADVも多数ありました。
多少なら構わないのですが、あまり何度もやらなければならないとなると、結構苦痛に感じてしまいます。
今作はその煩わしさがありませんので、ストレスなくゲームの進行を楽しめるのです。
無駄な部分がなくなったことで、テンポが良くなったという長所もあります。
しかし、同じ分量で早く進むということは、それだけボリューム不足を感じさせてしまいます。
89年頃にもなると、ADVの中にも、必要なコマンドだけで良いというゲームも増え、体感的には最もボリューム不足を感じ始めた頃だったんですよね。
ADVファンで、良質な時間を過ごせればプレイ時間自体は短時間でも構わないという人であれば、このボリューム不足問題は特に気にならないでしょう。
しかし、多くの人はやっぱりボリュームやコスパも気にしますので、ファミコンのADVが廃れていった最大の理由は、実はこの辺にあるんじゃないかなとも思います。
<評価>
総合では佳作ってところでしょうか。
前作ほどのインパクトはなくなったので、良作と呼ぶほどの特徴はなかったようにも思いますが、基本的な作りはしっかりしたゲームでしたから。
まぁ、難易度が下がったこともあり、ADVに苦手意識を持っている人に対しては、前作より薦めやすい作品でもありました。
Last Updated on 2025-05-10 by katan
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