『鳥籠のマリアージュ』は2014年にWIN用として、Kalmia8から発売されました。
乙女ゲームではあるものの、エロも濃厚で、何より変人ばかりのキャラが印象的な作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・三ヵ月前に事故で父親を失った佳奈子。
哀しむ暇もなく彼女を襲ったのは、主を失ったことで傾いた父の会社の、膨大な借金だった。
母は子どもの頃に亡くなっており、頼れる親戚もなく、途方に暮れる彼女に差し伸べられた救いの手――
それは、父の古い友人だという大企業グループの代表、真行寺惣一だった。
惣一はあっという間に借金の全てを返済し、自グループに新規事業部を立ち上げることで残された社員全員を引き取ってくれた。
さらには、正式に佳奈子の後見人となることに。
真行寺家で生活することになった佳奈子は、父の元秘書である、葉山司に連れられて惣一の指定する場所へ向かう。
そこは真行寺家のお屋敷ではなく、彼の息子兄弟二人だけで暮らすマンションだった。
ここで兄弟と一緒に暮らすように言われ、戸惑う佳奈子に、追い打ちをかける一言が惣一から浴びせられる。
「二人のうち、どちらかと結婚しなさい。会社は君と結婚した方に継がせる。」
恩義や残された社員のことを考えると、断れない佳奈子。
少しずつ、少しずつ。自分でも気が付かないうちに……。
――少女は鳥籠の中に追い込まれていく。
<感想>
本作は女性向けの、いわゆる18禁乙女ゲームになります。
もっとも、あらすじからも分るように、普通の恋愛ものではありません。
主人公は後見人の二人の息子のうちのどちらかと、嫌でも結婚しなければならないのです。
二人の息子にも、それぞれ思惑がありますし、何より後見人となったオッサンが全ての元凶でもあります。
ストーリーとしては、その辺の理由が次第に明らかになっていくのですが、その過程としてはエロエロな展開が多いわけでして。
仮に男性向け作品で例えるならば、おそらく本作は抜きゲーの範疇として捉えられるのでしょう。
ただ、単にHシーンが一杯あるのではなくストーリーも楽しめるので、今風に言えばシナリオも楽しめる抜きゲーってなるのかな。
まぁ、ストーリーも楽しめる抜きゲーとかって表現は、個人的には嫌いなんですけどね。
何で抜きゲーだのシナリオゲーだのって、無理やり二分しなきゃ駄目なのかと。
両方優れている作品をあえて一つの偏った表現にする必要はないでしょうに。
だからこうした二分論は、ハッキリ言って馬鹿でしょと思ってしまう。
名称は何であれ、とりあえず本作はストーリーも楽しめるのですが、正確にはキャラのいかれっぷりとなるのかな。
つまり出てくるキャラたちが、変人ばかりなのです。
兄弟の兄の方は、主人公を写真から出てきた人形として扱う妄想野郎で、病んでいるというか、狂人っぽい感じです。
弟の方も、ツンデレを悪い方にこじらせたというか、とことんクズな感じですし。
そして元凶たる親父が、それ以上におかしいのは当然のこととして、他にもドMな元社長秘書とか変な人ばかりです。
まぁ、彼ら彼らで真剣に行動しているのだろうし、部分的にみると狂気染みているのですが、あまりにも度が過ぎているものだから、何か一周まわって滑稽に見えてきて、逆に笑えてきてしまうのです。
プレイしないと何を言っているのか分らないかもですが、狂気染みた作品なのに何故か笑えてくるという、不思議な作品でしたね。
次にエロなのですが、まず単純にHシーンの数が多いです。
女性向けの作品とはされているものの本作は乙女ゲーですから、BLゲーとは異なり男女の絡みが描写されていますので、つまりは普通のHシーンと同じなわけです。
だから女性も男性も関係なく、どちらでも楽しめると思います。
男性向けの、いわゆるシナリオゲーよりエロが濃いだけでなく、個人的には普通の男性向け抜きゲーよりも良かったようにさえ思います。
本作は、一部のHシーンで動きます。
乙女ゲームに特別詳しいわけではないので正確なところは分らないのですが、これまでにプレイした乙女ゲームではHシーンでアニメはなかったんですよね。
本作が初か、そうでないにしても、非常に珍しいのは確かでしょう。
もっとも、男性向けではHシーンで動くのは珍しくないですし、本作も技術的な面では驚くほどのものではないのでしょう。
しかし、絵の構図や描き方とか、描写の仕方が男性向けとは異なることから、AEアニメのある男性向け作品とはまた違った、新鮮な感覚で楽しめるのです。
女性向けとしては、上記のようにアニメのある作品自体が珍しいですから、つまりはどの角度のユーザーから見ても本作のHシーンは新鮮な感じがするし、現時点では他とあまり被らない独自の良さを持っていると言えるのでしょう。
またHシーンのアニメだけでなく、グラフィック全体でも動きを意識しているようで、この辺の演出の良さは乙女ゲームの進化を感じさせますね。
男性向けだと、ゼロ年代後半の作品も最近のも、大して変わらなかったりする場合もあるので、知らない作品だと発売年をすぐに予測できない場合もあります。
しかし乙女ゲームの場合、ゼロ年代後半の作品に比べ、最近のはグラフィックや演出が明らかに進化したものが増えており、本作もその一本と言えるのでしょう。
まぁ演出面だけで名作と断言できる程の突出した進化ではないのですが、それでもちょっとでも進化を感じさせてくれることは嬉しいものです。
<評価>
明確にここがという、突き抜けた長所を感じられないことから、総合では名作には及ばず良作としておきます。
もっとも、様々な面でちょっとずつ変わっており、思いの外、新鮮な感覚で楽しめる作品でした。
エロ・ストーリーの両方を楽しめる作品ですし、内容的に男女問わずオススメできると思います。
特に普段男性向けしかしない人の場合、女性向けのBLゲーとかは少しハードルが高いでしょう。
でも、本作のような女性の濃厚なエロが描写される作品ならば、違和感なく楽しめると思うわけでして。
その意味で、男性が女性向け作品に手を出すための入門作としても、本作は適した作品のように思いますね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-10-20 by katan
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