『それでも妻を愛してる』は2011年3月25日にwindows用として、ルネ Team Bittersから発売されました。
貴重なフルプライスのNTRゲーですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
寝取られゲー(NTR)は最近では低価格路線に多いのですが、低価格路線だとどうしてもボリュームが少なくなりがちです。
そうなると当然、主人公とヒロインの交流期間が短くなり、プレイヤーのヒロインに対する思い入れが薄くなってしまいます。
また、ヒロインがすぐに堕ちてしまうものも多く、寝取られる過程が弱い作品も多数あるわけです。
その点、フルプライスのNTRである本作は、上記の点に関してはかなり対策を講じてきました。
すなわち、プレイ期間を1年間と長期間に設定しつつ、丁寧に描写してきたのです。
寝取られるのは主人公の妻なのですが、最近の同系統の作品よりも主人公との絡みが大事にされています。
そのため、ヒロインに対し感情移入しやすくなっているのです。
また、期間がたっぷりあることで、妻が犯られた後しばらく抵抗しそれから次第に堕ちていくという過程も、比較的他のゲームより不自然さがなく済みました。
NTRと言ってもどこを重視するかは人それぞれなのでしょうが、「過程」や「流れ」こそが最重要と考える人ならば、本作はわりと楽しめるのではないでしょうか。
ただ、犯られるまでの過程はしっかりしているのですが、堕ちた後の描写であるとかラストの持っていき方とかが、わりとあっさりだったりします。
その部分で若干の物足りなさを感じてしまったわけで、「過程」や「流れ」重視の人の中でもこの部分を重視する人は、ちょっと注意が必要かもしれません。
あちらを立てればこちらが立たずではありませんが、もうちょっとバランスが良ければ良かったんですけどね。
NTRって難しいものです。
それと私も最近は過程がどうのって言う機会も増えてきたのですが、根っこを辿ると古い人間ですからね。
ルーツとしては、突然目の前でヒロインが犯られている、その衝撃によってこの属性に目覚めたタイプの人間なわけです。
だから、「結果」や「場面」での衝撃度というもは、決して無視できないのですよ。
最初から覚悟していたことではありますが、設定の関係上、本作には驚きのようなものはありません。
また目の前で寝取られることで主人公が悔しがり、その悔しさを共有するという側面においても、本作はやや弱かったように思います。
主人公の描写などいかにNTRが痛手であるかといった部分が弱いものだから、どうしても単発の「結果」や「場面」のインパクトが弱くなるのです。
本作はフルプライスだけあってボリュームは多いのですが、個々のシーンのインパクトが弱いために、質より量って印象が強くなってしまったわけですね。
そのため、本来は満足になれるだけの量はあるはずなのに、相応の満足感に結びついていないように感じました。
そういうわけで本作は、基本的に「結果」や「場面」を重視する人よりも、「過程」や「流れ」を重視する人向きのNTRなのでしょう。
そういう意味では私の好みとは異なる路線なのですが、本作にはもう1点気になるものがありました。
それが、寝取らレーダーと呼ばれるシステムなわけです。
これは普段何もないテーブルに置物があったりする場合があって、それをクリックすると異変に気付いたということで、後の展開が変わってくるというものです。
つまり本作は、基本的なジャンルとしてはノベル系のADVになるのですが、部分的に画面クリックの要素を導入しているわけですね。
ゲーム性というものは、RPGやSLGを入れれば高いという、そんな単純なものではないと思います。
その作品に必要で適切なものを導入し、その導入されたものの独自性と完成度を総合的に判断すべきなのでしょう。
いつもの日常と異なる部分に気付けば後の展開が変わるというシステムは、寝取られものにとっては適切なシステムだと思います。
つまりどんなシステムを導入すべきかという点では、他のノベル系よりは優れていると言えるでしょう。
いっそのこと選択肢は廃してしまって、この寝取らレーダーだけで進行しても良かったくらいです。
あとはね、このシステムがしっかり機能していれば問題なかったのですが、それが中々上手くいかないのが歯がゆくもあったわけでして。
というのもシステムの構造からすれば、妻の様子がおかしいのに気付く→寝取られを未然に防げる、となるのが通常でしょう。
故に、変化のあった場所をクリックすることで、それにより寝取られを防止できることこそが、システムとストーリーの一致というものでもあり、この部分が上手くいっていればゲーム性が高いと言えるのだと思います。
本作ではクリックすることで寝取られルートに入ってしまう場合もあり、微妙に一致していなかったわけで、まだまだ改善の余地は大きいように思いますね。
絵は好みの問題もありますが、原画と塗りには問題はないものの、構図がややおかしかったんですかね。
一見するとかなりエロそうなのに、思ったほどでもなかったのかなと。
プラスになりきらなかったというだけで決して悪くはないのですが、ちょっと勿体無かったかもしれません。
<評価>
総合的には私の好みを除外して考えたとしても、内容的には佳作ぐらいなのかもしれません。
ただ、荒削りで未熟ではあるものの、システム面でのNTRの可能性を見ることはできましたし、従来の問題の解消や新たな問題の提起など、プレイしていて得るものもそれなりにあったように思います。
そうした次につながる作品であるという意味では、結構満足度も高かったわけでして。
少々甘いかもしれませんが良作としておきたいと思います。
ライターは決して力のない人ではないと思いますし、1場面でのインパクトをもっとつけられるでしょう。
これに寝取らレーダーの更なる充実を加えることができたなら、新たな名作も十分に作れるように思います。
まぁ、低価格路線のNTRが増えることで、大抵のバリエーションは出尽くしてしまい、個々のシチュエーションで差異を図れる時代は過ぎたのかもしれません。
NTRは衝撃を受けるジャンルであったはずなのに、それは年々感じられなくなっていますしね。
そんな中で、ではフルプライスのNTRの存在意義とは何ぞやと考えた場合、期間的な意味を含めたボリュームであるとか、新たなシステムを構築して組み入れていくことは、大いに意味があるように思うのです。
新たな時代の新たなNTR路線はこの作品の延長上にあるのであり、本作を踏み台にもっともっと進化していってもらいたいものですね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-12-16 by katan
コメント
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これは男性キャラがよかったですね。
ただ、処女と童貞って設定、必要だったのかなとは思います。
無駄に足枷になってる感じも。
あとNTRなんだから、ホモ関係もあってみよかったかも。
エロゲーに限らず日本の商業エロメディアって、NTRにホモ要素を意図的に避けてる様な…。
気持ちはわかるけどね。
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> あとNTRなんだから、ホモ関係もあってみよかったかも。
> エロゲーに限らず日本の商業エロメディアって、NTRにホモ要素を意図的に避けてる様な…。
NTRでホモというと、
旦那が妻でなく他の男性を選ぶということですか?
違っていたら、すみません。
もしそうであるならば、主人公は女性となるし、
作品として出るならば男性向けエロゲではなく、
乙女ゲーとして発売されるのでしょうね。
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>旦那が妻でなく他の男性を選ぶということですか?
寝取らせ、ですね。
夫が男を選んで妻にあてがう、とか。
あとは寝取り男が夫ともSEX、みたいな。
バイセクシャルみたいな感じですね。
意外とないんですよね。
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> 寝取らせ、ですね。
> 夫が男を選んで妻にあてがう、とか。
寝取らせは、最近は増えてきていると思いますが、
そもそも売っている方が理解してなかったりしますからね。
少なくとも寝取られと寝取りは方向性が違うだろと思うのですが。
私は、NTR、NTL、NTS(寝取らせ)として、
一応区別しているつもりですが、
ジャンルとしての認知度が低いから、作品の浸透も遅いのかなと。
> あとは寝取り男が夫ともSEX、みたいな。
> バイセクシャルみたいな感じですね。
> 意外とないんですよね。
寝取り男と夫とが・・・って展開は、
男性向けでは今後も出なそうですね。
クリエイターがそこまで頭が回らないのもあるでしょうし、
売上第一に考える現状では、
叩かれそうな要素を入れるとは思えませんから。
ヒロインを寝取った間男が、ヒロインの彼氏ともというのなら、
むしろ乙女ゲームなんかでは期待できそうかも。
形はなんであれ、出るとしたら乙女ゲーなんだろうなと、
そういう意味も含めて乙女ゲーの可能性はいろいろあると、
個人的に期待しているんですよね。
まぁ個人的には、ママレードボーイで光希を寝取って、
その際に遊とも関係を持つという妄想を抱いたりもしましたがw
たぶん、そういうこと考える人、少ないんだと思います。