龍の花園

1992

『龍の花園』は1992年にMSX2用として、モオソフトから発売されました。

時間の概念やマルチエンディングを取り入れた、意欲的な作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

まず簡単なあらすじから入りますと、故郷に帰ってきた主人公は、そこで久しぶりに幼なじみと再会します。
しかし、その幼なじみの女の子は、「龍の花園へ」というメモを残して消えてしまいます。
主人公は消えた彼女を探すため、彼女の通う学校に調べに行くことになるのです。

<感想>

物語のジャンルとしては伝奇ミステリーとなるのでしょう。
近年は比較的多いようなものの、この頃は少なかったジャンルのように思います。
特別優れているとまでは言えないかもしれませんが、語りすぎず、それでいて練られたストーリーは、安定して楽しむことができました。

もっとも、『龍の花園』に関しては、別の点の方が話題になりやすいかなと思います。

というのも、制作したのはモオソフトというところなのですが、漫画家の青井泰研さんプロデュース作品で、陽気婢さん、魔北葵さん、夏島とほるさん、綾坂みつねさんという、4人の漫画家も原画に参加していたそうです。

個人的には、本作のグラフィックについて、それほど優れているとも思わなかったのですが、話題性という意味では十分だったのではないでしょうか。

むしろ注目すべきだったのはシステム面で、本作は時間の概念を取り入れたADVでした。
つまり同じ場所であっても、時間によって登場するキャラやイベントが異なるわけです。
それに加えて、主人公の行動によってEDが変わる、マルチエンディングの要素も取り入れていました。
後発の作品を例に出して申し訳ないのですが、『猟奇の檻』みたいな感じが近いでしょうか。

80年代のADVの中にもマルチエンドのADVはありましたし、時間の概念を取り入れたADVもありました。
でも、これらの要素を両方取り入れたADVとなると、ほとんどなかったのではないでしょうか。
『同級生』よりもわずかに先ですし、あるいは初なのかもしれません。

そういう意味では、先駆的な部分を評価し、名作という人がいても不思議ではないし、それだけの内容を伴った作品だったと思います。

<評価>

欲を言うならば、『同級生』みたいにもっと何かを組み合わせたり、あるいは組み合わせた要素を練っていれば文句なかったんですけどね。
若干物足りなさが残ったこともあり、個人的には名作に近い良作にとどめておきます。

MSX2専用ということで当初はマイナーな存在でしたが、今はDL版でも遊べるみたいですね。
いろいろと見所も多い作品なだけに、興味がある人にはぜひプレイしてもらいたい作品かと思います。

ランク:B(良作)

Last Updated on 2024-08-25 by katan

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