『パパラッチ』は1996年にPC98用として、U・Me SOFTから発売されました。
コマンド選択式の簡易化の行きついた先というか、ノベルゲーとの境界線上の作品でしたね。
<概要>
あらすじ・・・
主人公の筑紫てっぺいは、三流スポーツ新聞である、「スポーツ新報」の編集部で働く新聞記者です。
主人公は、駆け出しカメラマンの有森佐和夏と一緒に、様々な事件を追いかけることになります。
<感想>
主人公がサラリーマンで、仕事中に出くわす事件を描いた作品ということで、今のエロゲではほとんど見かけない設定の作品ですね。
そのため、わりと誰でも新鮮な気持ちで楽しめるのかもしれません。
まぁ、設定自体は珍しいようにみえますが、いろんなエピソードに巻き込まれ、出会った女性と関係を持ち・・・ということで、作品の本質としてはナンパゲーの亜種と言えるように思います。
そういう意味では、98ゲーらしいと言えるかもですね。
凄く面白いとかではないのですが、個人的にこのノリ自体はわりと好きだったりします。
さて、設定に珍しい部分はあるものの、本質はナンパゲーということから、それだけだとあえて取り上げなくても良いのかなとも思えます。
あえて今回、この作品を取り上げてみたのは、
そのゲームデザイン部分を紹介するためなのです。
最近のエロゲは、選択肢がどんどん減っています。
どのヒロインのストーリーを読むかを選ぶだけという作品も増えており、ディスクマガジンの類との差が、ほとんどなくなっています。
いわば今のエロゲは、ノベルゲーとディスクマガジンとの境界線上にある、そういう作品なのでしょう。
そうした境界線上の作品は、他にもあります。
ADVには、コマンド選択式ADVというジャンルがあり、他方で、ノベルゲームというジャンルもあります。
典型的なコマンド選択式とノベルゲームは、構造が全然違うように見えます。
しかし、90年代に入り、主に中小ブランドを中心に、コマンド選択式の簡易化が進んでいきます。
具体的には、選ぶコマンドの数が減っていったわけですね。
コマンド数が3個になり、2個になりという感じで減っていき、コマンド数が1個になると、もはやノベルゲームとの違いがありません。
画像のとおり、本作にもコマンドが表示されることから、本作をコマンド選択式ということも可能でしょうが、表示されるコマンドは1個だけです。
選択肢と選択による分岐もありますので、こうなるとプレイ感覚はノベルゲーと何らかわりません。
有名どころだけをプレイしていると、主流がコマンド選択式からノベルゲーへと、突然とってかわったように見えるかもですが、こういう作品をプレイしていると分かるとおり、実際にはコマンド選択式の簡易化の流れがあって、ノベルゲーとの区分けがつかなくなっていったというのが、事実のように思いますね。
<評価>
一部、何考えて作ったんだと言いたくなるようなEDもありますが、トータルでは、あまり他と被らないタイプの作品といえるでしょうし、総合では佳作とします。
U・Me SOFTの作品は、客観的に判断しようとすると評価が伸びないのですが、このブランドのノリは、実は個人的には結構好きでして。
何だかんだで長年プレイし続けたブランドだったように思いますね。
ゲームデザインとか見ていると、あぁ96年の作品っぽいなと思えますし、エロゲの歴史の変遷を感じさせてくれる構造の作品ですので、そういうのに興味がある人だと、資料的価値を見出せるのではないでしょうか。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-11-22 by katan
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