『大奥マル秘物語』は1983年にPC88用として、CSKから発売されました。
ある意味、とても資料的価値の高い作品かもしれませんね。
<概要>
まずタイトルについてですが、正式には「秘」の字を丸で囲んでいます。
でも、ちょっと表記が環境に依存しそうな字なので、ここでは「マル秘」として記載しました。
ゲームジャンルとしては、コマンド入力式ADVでも構わないのかもしれませんが、ちょっと特殊です。
画面を見れば分かるように、選択肢が出てきて、その中から選ぶ場面が多いことから、基本的な構造としては今のノベルゲームと同じなのです。
ただ、選択肢を選ぶだけでなく、場面によっては、直接コマンドを打つ必要がありました。
したがって、コマンド入力+ノベルゲーと説明した方が、正確なイメージを抱けると思います。
まぁ今だったら、コマンド入力要素もあるノベルゲーと言われそうですが、本作はコマンド入力要素の割合も高いので、ノベルゲー扱いをすることには若干抵抗もあります。
そのため、上記のような複合形式で説明するのが無難なのでしょう。
あらすじとしては、まず主人公は女性であり、御勝手方として大奥に入ります。
そして、上様のご寵愛を受けて、世継ぎを出産するまでを描いた作品になります。
<感想>
ADVの歴史的なコラムを読んでいると、それはCSのADVには該当するだろうけれど、PCのADVには該当しないよなということが、ままあります。
本作を製作したCSKは、他にも同様の作品を作っていることから、本作だけが異端となるわけでもないのですが、それでも一般的なADVへのイメージとは大きく異なる作品なのでしょう。
具体的に見ていきますと、例えば今でも、ノベルゲーの主人公と自分を同化させて読む人もいるようですが、私自身はノベルゲーでそれはないだろと思ってしまいます。
そんな私でも、80年代とか古い時代の作品になればなるほど、主人公≒プレイヤーを前提に作ってある作品が多いなとは思います。
そうした主人公≒プレイヤーという構造が崩れるのは、CSでは90年代以降となるのでしょうし、その様に書かれたコラムなどを読んだこともあります。
しかし、上記のような分離の概念はCSゲーだけを念頭にしたものであり、アダルトゲームを念頭に置くならば、該当しないとなるのでしょう。
その良い例が本作ですね。
本作の主人公は女性であり、男性プレイヤーが大半のアダルトゲームにおいては、主人公と自分を同化させる人はほとんどいないでしょうから。
他にも、80年代のエロゲは野球拳とか、エロCGを見るのが目的のゲームばかりという勘違いをする人もいますが、本作のあらすじとかを見れば、そうでないことは一目瞭然です。
また、この時代は炉利ゲーが主だったという記事ばかり目にしますが、本作を作ったCSKは本作だけでなく他にも熟女ものというか、大人の女性を扱った作品を多数発売しており、本数の上では炉利ゲーと何ら変わりません。
タイトル数的にはそんな感じですし、売上的には正確なところは分らないのですが、炉利ゲーの代表格であるPSKが半ば同人に近い形だったのに対し、CSKは東映の作品をゲーム化することが多く、当時のPC所有者の需要はあるように思いますし、売上的にはこっちの方が主だったんでははないかと、炉利ゲー主流説には異論を唱えざるをえません。
<評価>
本作自体が面白いかとなると、それ程でもないというのが正直なところなのでしょう。
ただ、80年代のADVへの偏見がある人ほど、おそらく本作はそのイメージとは異なる作品に見えるだろうし、それだけ資料的価値のある作品とも言えるのかもしれません。
そういう意味では、非常に意義のある作品なのでしょうね。
したがって、ゲームの出来自体からは佳作程度かなと思いつつも、その異質な点を加味して、総合では良作としておきます。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2026-01-25 by katan


コメント
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歴史系って男性向けエロゲだと非常に少ない気がする
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>通りすがりさん
史実や歴史上の人物を扱った作品は、昔の方が多かったですね。
エロゲが90年代後半以降、恋愛系中心になってから、どんどん見かけなくなっていきました。