『ナイトトラップ』は1992年に海外で発売された後、1993年に国内でメガCD用として発売されました。
インタラクティブムービーの先駆けであり、同時にザッピングゲームの代表的作品としての意義を持った作品でした。
<概要>
ゲームジャンルは実写を用いた、インタラクティブムービー系のADVになります。
本作は、斬新なアイデアを有しつつも非常に偏った内容であることから、人により名作とも迷作とも呼ばれる奇作でした。
舞台はアメリカ郊外で、若者らの失踪事件が発生した場所になります。
特別捜査チーム :通称SCAT(スキャット)は極秘に捜査を開始。
マーチン家のいたる所に仕掛けられている防犯カメラと隠しトラップを発見し、それらを外部からコントロールできるようにしつつ監視を始めます。
そして6人の若者がマーチン家に招かれやって来ることから、これら防犯システムを使い事件の解決を目指すことになります。
<ゲームデザイン>
とにかく斬新なアイデアで成り立っているゲームですので、そこを書かないと始まらないでしょうね。
まずは、1つ目。
本作のゲームシステムはザッピング形式を用いたADVになります。
ビデオカメラが8台設置されており、それを随時、任意にその視点を切り替えつつ、敵の侵入を監視する必要があります。
そして侵入してくる敵を見つけたら、罠を発動させて敵を撃退するのです。
本作は完全にリアルタイムで進行していきますし、敵が侵入してくる時間と場所も固定されています。
そのため、どの敵がどの時間に侵入してくるのかを、プレイヤーは把握しておかなければなりません。
したがって、ザッピングを駆使しつつも、ゲームとしての本質は、時間管理型のADVにあると言えるでしょう。
ザッピングによる新鮮さや衝撃は誰しも感じられるでしょうが、最後まで十分に楽しめるかという観点で考えるならば、この管理要素が好きか否かで分かれるかと思います。

ザッピングゲームの説明については別途書いてますので、詳しくはそちらを読んでいただくとして。
8つのカメラを自在に操り視点をかえていく『ナイトトラップ』は、マルチサイトの要素を伴わない純粋なるザッピングゲームであり、完成度の面でも存分にザッピングの面白さを感じさせてくれました。
既にザッピングゲーム自体は『マニアックマンション』等でありましたが、時間管理要素と密接に融合している本作は、従来のザッピングゲーともザッピングの楽しみ方が異なっていましたからね。
ザッピングにリアルタイムの要素を加えた本作は、新鮮さや独自性も十分にあったと言えるでしょう。
次に、2つ目について。
90年代半ばには、インタラクティブムービーという言葉が流行っていました。
今では死語になってる感じで、全く聞かないですけどね。
何がインタラクティブムービーかって聞かれると、これがまた難しい所もあるのですが、動画を見るだけでなくそこに自分も干渉できる物と考えれば、とりあえずは間違いないのかなと。
このインタラクティブムービー、定義も曖昧なだけに代表作は何?って聞かれると、これがまた難しいわけでして。
もっとも、この言葉が使われだした頃に、家庭用ゲーム機であるメガCDから発売された本作は、要件を満たしつつもインパクトが十分にありました。
これがインタラクティブムービーなんだよって、他人に説明する場合に凄く便利なのです。
本作のゲーム画面を見せると理解してもらえますからね。
そういう意味では本作は、その時代を象徴した作品と言うことができるのではないでしょうか。
<グラフィック>
本作のグラフィックは、全編実写動画になります。
画質も当時としては綺麗でした。
ちなみに、3DOの移植版とかだと更に綺麗になるので、ハードの進化も体験できる作品でもありましたね。
そういえば、アメリカでは本作に対し年齢制限がついたそうだけど、下着姿のお姉ちゃんが出てくるからなんでしょうかね?
たぶん、プレイした誰しもやったと思うのですが、私も初プレイ時はクリアを目指さずに、お姉ちゃんのお色気シーン探しばかりやってましたし。
その意味でも、グラフィック的にはかなり満足できましたね。
また全編動画なのに加えて、本作はフルボイスです。
動きまくりのしゃべりまくりの実写ゲームっていうのは、まだ珍しかった時期の作品ですからね。
それだけに、満足度も高かったです。
<感想>
ゲームデザインやグラフィックやサウンドの秀逸さに対し、ストーリーは皆無に近いかもしれません。
メインストーリー自体は、進入してくる敵を撃退できるか否かだけなので。
そのため、純粋にストーリーだけを重視するって人とは、あまり相性が良くないかもしれません。
しかし、カメラを切り替えると、お姉ちゃんたちが下着姿で楽しそうに話してたりするわけです。
お姉ちゃんたちはお姉ちゃんたちで、自分のサイクルで行動し会話しているので、その会話を盗み聞きする楽しみがあります。
また、こっちはそれを覗き見する形になりますからね。
プレイをしていると、盗撮する人の心境がちょこ~っとだけ分かるかもしれませんw
そうして新たな属性に開花できたのならば、疑似体験としての広い意味でのストーリーとしては十分合格でしょう。
今はナラティブという言葉が浸透し始めていますが、カメラによる人間観察と覗き見を通じて、自分だけの体験をするわけで、ナラティブ的な視点からは優れた作品とも言えるのでしょう。
<評価>
ストーリー、グラフィック、サウンド、ゲームデザイン。
このように、各項目にわたり長所は枚挙に暇が無いほどです。
インパクトだけなら、確実に傑作級に値します。
しかしこのゲーム、ボリュームが圧倒的に少ないんですよ。
また、攻略に関しては結局覚えゲーで深みも無いですし。
それ故にボリュームとゲーム性を求める人とは相性が悪く、そういう人にはイロモノといった感じに見えてしまうのでしょう。
傑作級の長所に、若干の短所があるということも考慮して、総合では名作とします。
というわけで、強烈な長所と短所が入り混じった作品なのは確かです。
合う人と合わない人もはっきり別れるでしょう。
でも、ザッピングはこういうものだって事で、是非とも一度見てみてもらいたいものですね。
マルチサイトを伴わないザッピングの形式って、意外と少ないですから。
特にADVファンならば、きっと得るものがあると思いますよ。
ランク:A(名作)
Last Updated on 2024-09-19 by katan



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