鳴門巻秘帖 ~痛快ぎゃぐあばんちゅーる~

1990

『鳴門巻秘帖 ~痛快ぎゃぐあばんちゅーる~』は1990年にPC88用として、全流通から発売されました。

軽いノリが好きな作品でしたね。

<感想>

舞台となるのは時代劇風のパラレルワールド「OYEDO」。
つまり江戸時代をモチーフにした、架空のファンタジー世界になります。

その「OYEDO」にある「よろず探偵社」の署長・志乃と、所員・暁源之助が主人公になります。
志乃は美人だけれど、男嫌いのレズ。
源之助は剣の腕は一流だけど、ドスケベだったりします。

ある日、1人の黄門様みたいな外見の老人がやってきて、3日以内に「ふびらい藩」の家老に小箱を届けるよう依頼してきます。
そこから2人の珍道中が始まるのですが・・・というのが大まかなあらすじ。

道中にはワナが待ち構えていたり、様々な障害があります。
もっとも「痛快ぎゃぐあばんちゅーる」とあるように、シリアスではなくドタバタした軽くてちょっとスケベでお馬鹿なノリになります。
個人的には、このノリはとても好きでしたね。

また、キャラも可愛かったですし、魅力的に描かれていて、作品全体の雰囲気も良かったです。
ここは本作の大きな魅力といえるでしょうね。

<ゲームデザイン>

こういうノリとテンポの良さが大事な作品の場合、中途半端に複雑なコマンド選択式にしても、かえってテンポが損なわれ面白くなくなるだけです。

その点、本作は全流通がお得意とするノベルゲーでしたので、展開の勢いをそのままに楽しむことができました。
具体的にはクリックだけで進行し、たまに画面左上に選択肢が登場します。

今なら何でもかんでもノベルゲー発売されますので、ノベルゲーであることに意味は見出しがたいかもしれません。
しかし、当時はコマンド選択式が主流でしたので、その辺も加味して考えるべきなのでしょう。
(この当時にノベルゲーがまだ存在しないと思い込んでいる人もいるくらいですからね。)

ちなみに、旅でどこを通るかによっても展開がかわってきますので、マルチストーリーとは言えるのでしょう。
なお、エンディングは複数あるものの、必ずしも内容の伴ったENDというのではなく、ゲームオーバーが大半だったのかなと。
冒険では常に襲われる危険がありますので、ゲームオーバーになる箇所は結構あったかなと思います。
したがって、マルチストーリーではあるけれど、マルチエンドというには少し微妙なところですね。

また、ゲームの難易度そのものは低かったです。
全流通のノベルゲーは幾つもあるのですが、中にはかなり難しい作品もありましたからね。
全流通は作品によって結構極端なので、非常に難しい作品もあれば、逆に単なるCG集に近いシンプルすぎるものまであります。
その極端すぎる構造ゆえに、常に叩かれやすくもあったのですが、本作はゲームオーバーの数こそ多いものの、わりとすんなりクリアできますので、難しくもないけれど適度に遊べる良い感じにまとまったのではないでしょうか。

<評価>

全流通のノベルゲーの中では、バランスも良く完成度も高いと思います。
その観点で語るならば、ブランド内の代表作の1つといえるでしょう。
ただ、名作と言えるような、特にここがずば抜けているという突き抜けた特徴に乏しいかなと思い、当初は良作と考えていました。

ただ、実は私が本作をプレイできたのは発売より大分経ってからであり、つまり、ノベルゲーが当たり前にある時代にプレイしたので、本作の意味合いを掴み損ねていたように思ったわけでして。
つまり、本作が発売された時期は、ADVはほとんどコマンド選択式であり、ノベルゲーはまだ浸透していない時期でした。
如何せん、ノベルゲーがまだないと思い込んでいる人すら結構いますからね。
そういう時代における、ゲームとして十分楽しめるマルチストーリーのノベルゲームというのは、もっと評価されるべきのように思います。
そのため、再評価して、総合でもギリギリ名作とします。

まぁ、小難しい基準とかを抜きに考えれば、主観的にはかなり好きな作品だったんですよね。
特に良かったのがキャラなので、このキャラでもっと他のシナリオも見てみたかったなと思います。
この1作で終わらせるのは勿体無いなと思った作品でした。

ランク:A-(名作)

Last Updated on 2025-02-06 by katan

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