『恋踏 ~コイブミ~』は2012年にWIN用として、エムサイズから発売されました。
間口は広いはずなのに、でも実は深いというマゾ向けゲームになります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
選択肢は少なく、各ENDまで2回しかでてきません。
選択肢でセーブすれば十分なので、攻略は容易でしょう。
同人サークルのエムサイズの作品で、簡単に言えばマゾ向けゲームになります。
ヒロインは転向してきたイトコの早智子と、部活の後輩の野枝の2人です。
あらすじは以下の通り。
平穏な毎日を送る主人公の学園に転校してきた一人の美少女・平塚早智子。
彼女は数年ぶりに再会した、主人公のイトコだった。
主人公とその親友・章平、そして早智子の三人はすぐに意気投合し、日々親交を深めていく。
だが早智子の美脚が醸し出す魅力は、次第に三人の関係を狂わせてゆく……。
<感想>
一般的には、ある属性について間口が広く多くの人が楽しみやすいものは、えてして浅くなりがちですし、逆に初心者お断りな感じの狭い作品は深くなる傾向があると思います。
マゾ向けゲーと言ってもいろいろあるわけで、過激な攻めがあるとハードに感じますし、初心者には厳しいですよね。
激しいプレイは濃いユーザーにとっては嬉しいものですが、初心者にはついていけないものです。
逆に緩いプレイは初心者でも入っていきやすいですが、濃いユーザーには物足りなく感じるおそれがあります。
その観点で見た場合、本作の早智子は足コキと射精管理が中心で、野枝はもう少し種類は増えますが、特に過激なシチュはありません。
だから絵を見て「引く」ということはないはずなので、マゾ向けゲーの初心者でも入っていきやすいように思います。
じゃあ、この作品は初心者向けのぬるいゲームなのかと問われると、決してそうではないのです。
特に顕著なのが早智子になるでしょうか。
普通はマゾ向けゲーと言っても、ヒロインは脱ぎますしHシーンもあります。
でも本作の早智子に、そんなものはありません。
本作は早智子によって、主人公が調教されるゲームなのです。
調教ゲームはアダルトゲームでも幾つもありますが、その男女をひっくり返した感じの内容を想像すれば良いかと思います。
過激なシーンがないので肉体的にはそれほどでもないのですが、じわじわと主人公が調教されていく光景はお見事としか言いようがなく、本作はとにかくプレイヤーの精神的にくるのです。
そこにどれだけの価値を見出せるのか、全てはその点に尽きるのでしょう。
ちょっとマゾゲーも齧ってみたけれど、逆転したり普通にHシーンも欲しいって人だと、本作をあまり楽しめないかもしれません。
逆に心底マゾな人であればあるほど、楽しめる可能性は非常に高いでしょう。
また、自分の属性が分からない人が、自分の適正を試すのにも最適かもしれません。
マゾ属性がないと思い込んでいても、この作品で目覚めてしまう可能性も高いですし。
よく私は、興味のない人に興味を持たせられる作品が一流だと書きますが、その意味では本作はまさしく一流なのでしょう。
プレイして、結果的に合う合わないは出るにしろ、自分とマゾとの関係を考えさせられることは間違いないでしょうね。
あと、たぶんこれは私だけかもしれませんけどね。
本作では、尊敬していた先生(男)が早智子の奴隷にされていたということで、主人公はショックを受けます。
その感覚が、ちょっとした寝取られっぽく感じてしまいました。
男が女の奴隷になって寝取られと感じてしまうとか、お前ホモかよって、我ながらおかしくなってしまいましたけどねw
でも、考えようによっては、寝取られ分野で新しさを感じたとも言え、久しぶりに新鮮さを感じた作品でもありました。
<グラフィック>
CG枚数は、価格からすると平均かやや多めといったところ。
裸で少女に電気あんまをされたり、つながれて校舎を引っ張られたり、印象深いCGは多めですね。
ただ早智子の胸が出るシーンは一つもないので、全くマゾの気がないプレイヤーには物足りなく感じるでしょう。
徹底している作品だけに、間違いなく人を選びます。
<評価>
私も人を選ぶという表現は用いることがありますが、どうも最近は理由もなしにというか、あっても些細な理由で用いられるケースを見かけることが多いです。
そんな緩いゲームまで人を選ぶって、どんだけ今の若者に耐性がないんだよと、不思議に思ってしまうのです。
だからあまり使いたくなくなっている言葉でもあるのですが、この作品に関しては人を選ぶと言わざるをえないのでしょう。
主人公とヒロインのHシーンなんてものはほとんどなく、主に描かれているのは精神的に主人公が調教される様なのですから。
本当の意味でのマゾ向け作品と言えるでしょう。
好きな人ほど満足させられるということで、最低でも良作クラスです。
また、そのような深さを有していながらも、過激なシーン自体がないこともあり、マゾ向けゲー未経験者でも引くことなく入っていきやすいという、間口の広さも有しているんですよね。
そのため基本的には、極めて優秀な作品と言えるでしょう。
しいて言うならば、同人ゲーならではのチープさが若干あることくらいかなと。
本当は名作扱いでも問題はないのですが、一つだけ思うことがありまして。
それは、もしこういう方向性を突き詰めるのであれば、女性向けゲームで女性主人公が男性を徹底して攻める作品が出始めると、おそらくそっちには敵わなくなるのかなと。
まだまだ薄い分野だけにオンリーワン的な側面もありますが、この分野の発展はむしろ女性向けゲームの発展次第なのかなと、そんな風に感じた作品でもありました。
実際、本作のプレイ後にとった私の行動は、女性向けゲームのチェックでしたから。
個人的には名作に近い良作としておきますが、M向けのゲームが好きなら、ぜひプレイしてもらいたい作品の一つだと思いますね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-11-28 by katan
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