『景(ひかり)の海のアペイリア』は2017年にWIN用として、シルキーズプラスから発売されました。
アペイリアちゃんは可愛かったですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
名前も顔も居場所も知らない。実在するかさえわからない。
お前を必ず見つけ出す――
『このメールは未来から送信されている』
2045年冬。
双葉学園萌えるAI研究会に所属する桐島零一は、偶然にも自我のある人工知能アペイリアの開発に成功する。
触れてみたい、とパソコンの中の彼女が言う。
零一はAI研究会の部員たちと共に、デジタルの彼女に触れる方法を模索する。
そしてアペイリアの機能を使い、完全没入型VRMMO【セカンド】を作った。
剣と魔法、科学の融合したその仮想世界は第二の現実で、彼らは馬鹿騒ぎをしながら冒険を始める。
だが、【セカンド】は制御の利かない危険なゲームだった。
仮想世界に囚われたアペイリアを救うため、零一たちは命懸けでログインするのだが……
自我を持った人工知能と彼女を開発した零一。
そしてその仲間たちが贈る、恋と青春の科学冒険ファンタジー。
――やがて彼は、一つの仮説に辿り着く。
アペイリアを奪おうとしている、何者かの存在に。
<感想>
本作のストーリー上のジャンルはSFで、より具体的にはタイムリープもので、なおかつそれにVRMMOなども加わると。
いつものことではありますが、SF系のこの手の作品は、発売時の初心者には絶賛され、既に過去に同様の作品を経験している人には、辛口に見られやすいように思います。
もしノベルゲーでなければ、過去作とは違うのだと言いやすいのですが、ノベルゲーだと、どうしても同じ土俵になってしまいますかね。
本作の出来自体は、一昔前のゼロ年代前半頃の、いわゆるシナリオゲーとやらの大半よりは優れているので、一昔前のいわゆるシナリオゲーが好きな人にはおすすめでしょう。
いやいや、当時の名作には及ばん・・・という人もいるかもしれませんが、それは一昔前の作品をやった時には単にまだ初心者であり、それで当時の作品には衝撃を受けやすかったにすぎず、今はそれから何年も経って目が肥えただけであり、本作がゼロ年代前半のノベルゲーより何ら劣るわけではありません。
まぁ私の場合は、ゼロ年代頃のSFゲーとかを美化してないので、似たような作品が出てきたなくらいにしか思わないのだけれど、本作に対する率直な感想としては、今の若者に受けそうなSF要素を、いろいろと詰め込んだような作品であり、良くも悪くもラノベ的作品だなということでした。
したがって、ラノベ的な作品というところが引っかかる人は、あまり楽しめないかもしれませんので、注意が必要です。
余談ですが、本作のライターは、ラノベに行った方が成功しやすいように思いますね。
個人的には、若者に受けそうな要素をいろいろ入れることで商業面も視野に入れたというのであれば、作品としてありなのかなと納得はできているものの、VRMMOの部分とかは、やってて単純に飽きやすいというか、もう少しゲーム的な要素を加えるなどして、何らかの工夫ができたのではと思ってしまい、不満が残ってしまいました。
ところで、本作はSFということで、専門的な用語とかも出てきます。
そういう作品が出る度に、最低限の知識がないと~的な発言がされるのを見かけるのですが、本作の場合は懇切丁寧に説明がなされていますので、それでも別途知識が必要とか言われてしまうと、さすがにそれはライターがかわいそうだろと思ってしまいます。
そういう意味では、説明は頑張ったとも言えるのですが、問題は、その説明部分がストーリーに上手く溶け込んでいないことでして。
そのため、ライターの考えたSF理論の文章を、そこだけ単独で読まされているような気になってしまいます。
そうなると、読んでいて苦痛に感じてしまう人も、少しは出てきてしまうことが予想されます。
その意味では、テキストが上手くなかったと言えるのでしょう。
また、仮にどこかで見たようなSF理論の寄せ集めであっても、その上に盛り上がる展開があって、しっかりラストまで描かれていれば、一つの作品として仕上がっていると思いますし、作品としては十分成功なんだと思います。
しかし本作の場合、ラストが弱かったことから、その観点から評価できなかったのが残念でした。
というわけで、ストーリー面では不満も残る作品でしたが、他方でキャラは、とても良かったです。
特にアペイリアちゃんは可愛かったですね。
また、主人公も、おバカな武器で闘い続ける姿は、妙に好感が持てましたし。
キャラの魅力で、最後まで楽しめた感じですね。
<評価>
総合では佳作としておきます。
上記のとおり、本作の一番の魅力はキャラだと思っていますので、体験版をプレイして楽しいなと思えるのであれば、最後まで楽しめるように思いますね。
個人的には、VRMMOとか混ぜずに、タイムリープとかに焦点を絞って欲しかったかなと。
削った分のボリュームは減っても構わないから、その分ミドルプライスとかにして出してくれていたら、良作以上と判断していたように思いますし。
まぁ、あとは、この手の作品でいつも言えることですが、プレイ時期で印象が変わってくる作品だと思いますので、もし俺はまだ初心者だというのであれば、他人の意見など気にしたりしないで、できるだけ早くプレイすることをおすすめします。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-08-16 by katan
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