『柊鰯』は2011年にWIN用として、活動漫画屋から発売されました。
グラフィックの優れた作品でしたね。
<概要>
三十五歳引きこもりゲーム作家の家に、十四歳の家政婦さんがやってきました。
掃除 洗濯 お料理ばっちり。
嫁に欲しいぞ柊さん。
そんな二人とお客さんたちがただのんびり暮らすだけのお話し。
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
選択肢はないので、完全に読み進めるだけですね。
<グラフィック>
とにかくインパクトがあったのがグラフィックでしょうか。
これはサンプルCGを見た方が早いのですが、とにかく綺麗なんですよね。
これだけで他のノベルゲーとは違うのだという印象を与えてくれます。
また通常時は縦書きのテキストなのですが、要所要所で吹き出し式のセリフウインドウとなったり、他にもエフェクトが加わることで、演出面でも楽しませてくれます。
グラフィック面に関しては、もう文句なしですね。
ちなみに、上記のようにテキストは縦書きになります。
縦書きという形式は、人によっては苦手とする人もいます。
個人的には、縦書きだからと一概に決めつけることはできない、すなわち、使い方次第で読みやすくも読みにくくもなるものだと思っています。
本作は全画面に表示されるのではなく、テキストウインドウで数行が表示されます。
ウインドウ欄は状況に応じて場所が移動しますし、特徴である絵の良さを配慮しつつ、読みやすさも考慮して作られている印象をうけました。
縦書きのノベルの中では読みやすい方だと感じましたので、余程苦手意識がある人以外は大丈夫でしょう。
ただ、本作はAIRNovelで製作されていまして、ちょっと癖があるので、個人的にはシステム面で少し不満もありますね。
<感想>
あらすじとしては、引きこもりの同人ゲーム作家の家に、14歳の家政婦がやってきたと。
この家政婦の柊さんと主人公の会話、或いは他のキャラとの会話もそうですが、日常部分が読んでいて楽しく、この部分の満足度は高かったですね。
他のノベルゲーだと、共通ルートの日常シーンとか早よ終われと思うのですが、本作ではいつまでも見ていたい感じです。
内容的にはそこに、同人サークルの話や、柊さんの恋愛の話が加わってくるのですが、本作はボリュームの少ない作品ということもあり、ちょっと詰め込みすぎな印象も受けました。
まったりのんびりした雰囲気ゲーを期待させるような作品なのに、同人やら恋愛やら妙に俗っぽい部分があるために、雰囲気に浸りきれないんですよね。
二人の他に桜さんも魅力的だし、主要キャラが非常に良いだけに、もう少し扱う題材を絞って、深く掘り下げた方が良かったように思います。
あと、柊さんは東日本大震災で居場所を失ったという設定でして。
まぁその内容に深入りするわけでもないし、たぶん大抵の人は大丈夫なんだと思いますけどね。
私は直接の被災者ではないので、あまりとやかく言う立場でもないのでしょうが、親戚らが被害にあいましたので、立場的には本作の主人公に近いのかも。
ただ、相続問題のゴタゴタは発生して、しばらく揉めましたからね。
本作がどれだけ素晴らしい作品だったとしても、発売後しばらく経たないと、少なくとも私はプレイする気が起きなかったです。
何かしらの災害という存在は必要だったとしても、この時期に断定して表現する必要はあったのかなと、まぁ時事ネタをすぐに使うこと自体が嫌いなこともありますが、その点が少し引っかかってしまいました。
<評価>
グラフィックやキャラ、日常会話での雰囲気など、部分的には非常に良かったです。
長所だけなら名作級なのですが、ところどころ引っかかる部分があったのと、ボリューム不足などから、総合ではギリギリ良作ってところでしょうか。
ノベルゲーは一杯やってるとどれも同じに見えてきて、それでやめちゃう人もいるのだけれど、本作は特にグラフィックで異彩を放っており、目立ちますからね。
いつもと違う雰囲気の作品を楽しみたい人にはオススメですね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-12-19 by katan
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