『ゴールデンアワー』は、2017年にWIN用として、NIKOから発売されました。
グラフィックは更によくなりましたね。
潜在能力は高い作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
サッカー全国大会地方予選決勝の直前、主人公の石森雄也は怪我によりサッカーが出来ない体になってしまった。
それまでの目標を失った雄也は夢や希望、そして、恋を半ば諦め、ただ時間を潰す日々を過ごす。
そんな雄也にも気になる女の子「広瀬夏未」が居たが、どうせ自分なんてと興味の無い振りをしていた。
いつも通り、放課後に街に出て時間を潰すため、ゲームセンターに向かう雄也は「ユキ」と名乗る少女と出会う。
彼女はとても似ていた。「広瀬夏未」に。
そして、初めて出会った筈なのに、どこかそうじゃない気がして…。
彼女は突然、雄也に告げる。「私があなたの恋を応援してあげる」
それは雄也とユキの止まっていた時が再び動き出した瞬間だった。
残り僅かな時間の中で…。
<グラフィック>
ここの系列の作品は、いつも首から下の身体の描き方と塗りに関しては、凄く良いんですよね。
その長所は、本作にも受け継がれています。
それでいて、本作では、顔も含めた全体のバランスも良くなり、一枚絵以外の立ち絵の使い方にも工夫が見られるようになり、グラフィック全体が進化しています。
こういう進化を感じさせるブランドは、次も期待したくなりますね。
あとは、これは人により意見が分かれるところでしょうが、顔がどれも似ている、いわゆるハンコ絵に近いところがあるので、合わない人は合わないのだろうなと。
その辺は、どうしようもないですかね。
<感想>
この作品、途中までは凄く面白かったです。
潜在的な魅力は十分にあると思います。
ただ、本作のヒロインは、等価な存在ではありません。
本作は、主人公の思い入れや、作品上で占めるボリューム、ストーリー上の位置付けからも、圧倒的にユキゲーなのです。
ユキのストーリーを見てしまうと、他のヒロインのルートを見る気がしなくなるくらい、ユキの存在が別格なのです。
したがって、本作に対する印象ないし評価は、ユキルートの印象ないし評価と直結してきます。
そのユキルートなのですが、途中までは良かったんですね。
しかし、途中からファンタジー要素が入り始め、それから微妙な感じになってしまいまして。
何で、ろくな説明もない取って付けたようなファンタジー要素入れたのかなぁ・・・
最後までしっかりと現実路線で処理できていたら、もっと魅力的な作品になったでしょうに。
何とも勿体なかったです。
<ロック>
以上のように、本作はユキメインの作品であり、ユキルートを見てしまうと、他のルートをやる気がなくなる可能性があります。
しかし、ユキルートにはロックがなく、最初に攻略することもできます。
ルートのロックに是非に関しては、私は一般論としては一概に断定できないと思っています。
安易にロックをかける作品もありますが、私は、そのような作品には否定的です。
つまりね、例えば、Aという目標が提示されていて、そのAに向かってこちらがいろいろ考えて進めているのに、製作側の勝手な思惑からロックをかけられ、興味のないBやCのルートを読まなければAを攻略できないのとかは、ゲームであることの否定とも受け取ることができ、私は作品として駄目だと思っています。
本作でいえば、主人公は広瀬夏未が好きで、ユキは主人公と夏未の応援をするというストーリーで始まるわけです。
その当初提示された夏未という目的に向かっているのに、夏未ルートにロックがかけられ、最後でないとクリアできないのなら、それはゲームとして駄目なんだということです。
念のため補足しておきますが、あくまで例として説明しているだけなので、本作では最初から夏未ルートにはいけます。
本作の場合、上記のような状況ではありません。
ユキルートは、トゥルールートとして、構造上は最後に見る方が良いです。
それでいて、ユキの当初の位置付けは主人公のサポートであり、主人公の目的にはなっておらず、サブ的、或いは隠れ攻略キャラ的な位置付けであります。
そうであるならば、ユキにロックをかけて、最後に攻略できるようにしても良かったと思うのですよ。
作品全体への印象にも影響しうるだけに、この判断は良く考えてからすべきだったと思います。
<評価>
総合では佳作としておきます。
もっとも、いろいろ惜しいところもあり、それはすぐに改善できるものでもありますし、過去作よりも進化もしてきていますので、次こそは良作・名作になるのではと、期待を抱かせる作品でもありました。
次は期待しているので、頑張って欲しいですね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-08-16 by katan
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