『あかずきんちゃん』は、1990年にPC88用として、システムデルタから発売されました。
童話「赤ずきん」をモチーフにした、ノベルゲームになります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
本作は童話の「赤ずきん」をモチーフにしたというか、簡単に言えば「赤ずきん」のパロディ作品ですね。
したがって、主人公は赤ずきんちゃんであり、友達の白雪や森の住人らと楽しく生活をしているという世界観になります。
ストーリーとしては、赤ずきんちゃんがある日、母親からお婆さんの家に行くよう、お使いを頼まれます。
赤ずきんちゃんは、お婆さんの家に向かうのですが、その途中には様々なトラップが存在していて・・・って感じの作品になります。
<ノベルゲーム>
上記のとおり本作は、ノベルゲームになります。
最初に、持っていくアイテムを3つ選択し、お婆さんの家に向かう途中で障害に出くわした際に、そのアイテムを使用することがありますので、その点で若干変則的ではありますけどね。
でも、基本的にはクリックで読み進め、途中で出てくる選択肢によって展開が分岐する作品ですので、
ノベルゲームとなるのでしょう。
なお、マルチエンディングでした。
ノベルゲームの説明に関しては、もう何度もやっているので、過去の記事を読んでいる人なんかだと、またかよと思うかもしれません。
ただ、それでもまだまだ誤解している人が多いので、一応説明しておきます。
今日のエロゲやギャルゲの多くはADVと名乗っているものの、多くの人はノベルゲームであると理解しています。
その特徴は、クリックで文章を読み進めていき、途中で選択肢がある場合には、それを選択することにより、物語が変化していくという構造になります。
こうした構造の作品は、80年代から既に存在しています。
CSからエロゲへとノベルが広がったように勘違いする人もいますが、むしろ技術力の乏しいエロゲの方が使用されやすかったのであり、
エロゲにおいては遅くとも86年からノベルゲーが存在しているのです。
ちなみに、この当時から書籍で紙芝居と揶揄されており、紙芝居という表現もまた、歴史が古いのです。
ついでに補足しておくと、よくある勘違いとして挙げられるのは、サウンドノベルとビジュアルノベルでしょうか。
そもそも、80年代からノベルゲームが既にあったことを前提として、そのノベルゲームの形態の一つとして、テキストで画面全体を覆いつつ、サウンドに力を入れた点に特徴があるとして発売されたのが、サウンドノベル(1992年~)なのです。
即ち、「サウンドに焦点を当てた初の」ノベルゲームがサウンドノベルであり、「初の」というのは「ノベルゲーム」にかかるのではなく、「サウンドに焦点を当てた」という部分にかかるのです。
そしてビジュアルノベルは、サウンドノベルをベースとしていることから、サウンドノベルと同様にテキストを画面全体で覆うことを前提とし、サウンドノベルがシルエットで表示していたキャラの部分を、普通のグラフィックで表示したものになります。
だから簡単に言ってしまえば、ノベルゲームの中で、テキストを画面全体に表示したものがビジュアルノベルとなります。
この辺を勘違いしている人が元々いた上に、最近は外国人がsteamなどで誤用しだしたことから、また勘違いしている人が増えるんじゃないかと思うわけでして。
ビジュアルノベルって書いてある作品をプレイしてみたら、実際には違ってたというケースも増えていますので、どうしてもしつこく書いてしまうのです。
まぁ、伝統的なポイントアンドクリックタイプのADVも、ノベルゲーしか知らない世代がプレイすると、SLGって書かれてしまう時代になりましたからね。
ジャンル自体が非常に曖昧で、意味のない時代になったのかもしれませんね。
その80年代から存在したノベルゲーですが、アダルトゲームが進化するにしたがい、単純な構造のノベルゲーは減っていきます。
おそらくノベルゲーが登場した後において、エロゲのノベルゲーが一番少なかったのは、90年から92年頃ではないでしょうか。
そして、ノベルゲーの歴史の変遷を知りたい人や、この間のノベルゲーについて興味がある人は、エロゲでもCSでもなくマイナーな一般PCゲーを探すのが、おそらく近道なのでしょう。
そして本作もまた、そうした一般PCゲーにおける、ノベルゲームの中の一本になるのです。
<感想>
今となっては資料的価値の方が大きいので、それで前提部分が長くなってしまいましたが、作品としては、どちらかというと子供向けの作品なのでしょう。
つまらないわけでもないけれど、面白いとまでは言えない作品だったと思います。
ただ、演出に関しては珍しい手法でもあり、これは特徴と言えるかもしれません。
<評価>
当時のエロゲや有名ADVは大概把握しているつもりですが、マイナーなノベルゲーは知らなかったり、忘れてしまった作品もあるでしょうからね。
だから細かい実態は分からない部分もあるのですが、とりあえず本作は、当時の貴重なノベルゲーの中の一本と言えるのでしょう。
上記のように、プレイして主観的に面白いという作品でもないですが、個々の要素を見てみると意外と見所のある、資料的価値のある作品のように想いますね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2025-02-11 by katan
コメント