『甦る 至上のアドベンチャーゲーム大全』という本を買ってみました。
この本は、良いシリーズですね。
ADV関連の書籍は、読む価値のないような、内容の酷いものも多い中、これは買って読む価値があると思いました。
<総論>
冒頭に書いたとおりなのですが、アドベンチャーゲーム関連の近年の書籍って、間違いが多かったり読む価値がないような書籍が多いです。
そうなってしまっている理由は明らかで、そもそもADVは、当初からPC中心に発展してきたジャンルなのですが、80年代や90年代はPCも高く、一般的に普及していなかったこともあり、執筆者が最初はCSゲーしか知らなくて、途中からPCゲーを知って、そうした自分の体験談を通史のように勘違いして語ることが多いことから、どうしても間違った紹介になってしまうのでしょう。
また、PCゲー中心に発展してきたということは、画期的だったり、優れた作品が必ずしも有名とは限らないわけで、その辺が紹介することの難しさにもつながってしまっているのでしょう。
発売された書籍を読んではガッカリすることが多かった中、このシリーズは、編集に私が関与しているのかと思うくらい、ツボを押さえたシリーズだなと思いました。
なお、このシリーズは3冊あります。
1973年から2000年までの作品を扱っており、各年代の作品を網羅するというのではなく、特徴のある作品に絞って紹介するという形式になっています。
そのため、掲載から漏れてしまっている作品も多いのですが、ピックアップされた作品の選び方については、ADVを分かっている人が選んだと思えるようなものになっています。
<甦る 至上のアドベンチャーゲーム大全 Vol.1>
1冊目は、1973年~1987年までを扱っています。
扱う年数としては長いように見えますが、ADVが実質的に増えだしたのは83年からということもあり、実質的な対象期間は5年くらいと考えて良いのでしょう。
そうなると、発売された作品の総数自体も多くはないことから、87年までではなく、80年代全体で1冊でも良かったのかなと思います。
実質的に扱っている年数が短い分、本書の網羅性は高くなっており、最初期のADVから80年代半ばまでのADVファンには嬉しい内容となっています。
もっとも、その分、88年以降の作品の扱いが悪くなってしまった感があるでしょうか。
また、『ゼルダの伝説』等も含まれており、良く知らない人が読むと、結局ADVってどういうジャンルなのかが分からないように思います。
アクションアドベンチャーと名付けられている、実質的にはアクションゲーに関しては、外して良かったのではないでしょうか。
不満点は上記のようなところですが、上記のとおり対象期間が短いこともあり、網羅性が高くなっていますし、無難にまとめた印象が強いので、それ以外の不満は出にくいかなと思います。
まぁ、80年代中盤までについては、優れた書籍が他にもありますので、そういうのを持っていたら本書をあえて買う必要はないかなと思いますが、何も持っていないという人は、本書を買って損はしないと思います。
<甦る 至上のアドベンチャーゲーム大全 Vol.2>
2冊目は、1988年~1992年までを扱っています。
この時期って、ADVが凄く進化していった時期なので、本当は一番熱く語られるべきところなのですが、ADV研究という観点からは、実は凄く手薄な時期でもあるんですよね。
80年代中盤までの作品については、ネット上でも攻略サイトとか、いろいろ紹介しているサイトとか探せば結構ありまして。
だから意外と情報を得やすいのですが、80年代後半から90年代前半は、本当に情報が得られにくくなっています。
そういう意味では、1冊目より2冊目の本書の方が、発売されたこと自体、大きな意義があるように思います。
例えば、PCにおけるノベル系のADVの歴史については、なかなかこれを紹介できている書籍がありませんでした。
本書は、システムサコムのノベルウェアや、全流通のノベルゲー等、80年代のノベルゲーの視点がきちんと盛り込んであって良かったです。
『うるま』を掲載するくらいなら『卒業写真/美姫』を挙げるべきだろとか、そういうのはどうしてもありますが、他から情報が得にくくなっている分野だけに、代替品もなく、概ね満足度の高い1冊だと思います。
ある意味、このシリーズの中でも、最も価値があるといえるかもしれません。
<甦る 至上のアドベンチャーゲーム大全 Vol.3>
3冊目は、1993年~2000年までを扱っています。
傑作の多い時期なだけに、読んでいて懐かしいと思える作品も多いでしょうし、そういう意味では濃い1冊かもしれません。
ただ、1冊目が実質5年分、2冊目も5年分を扱っている中、本書は8年分を扱っているので、どうしても漏れが出やすいかなと思ったり。
特に97年以降は、急に扱いが悪くなっていますしね。
84年が30本も掲載しているのに、97年以降はそれぞれ10本程度ですから、どう考えてもバランスが良いとは思えません。
97年以降の作品が好きな人には、物足りなく感じるのではないでしょうか。
97年以降については、オマケ程度に考えた方が良いと思います。
また、アダルトゲームとCSの作品の紹介が多く、一般PCゲーの扱いが薄いと思います。
私のこのサイトも、最近はエロゲ専門みたいになっていますが、そもそも私の一番の専門(?)分野は、WIN初期の一般PCゲーですからね。
だから、その分野については、どうしてもうるさくなってしまいます笑
とはいえ、『The Last Express』や『殺意の証明』を紹介した書籍は、これまでほとんどなかったと思いますので、それらが紹介されていることは、とても良かったと思います。
Last Updated on 2025-12-30 by katan




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