ぼくの一人戦争

2015

『ぼくの一人戦争』は2015年にWIN用として、あかべぇそふとつぅから発売されました。

有葉さんの絵は好きなんですよね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
「最期の独りになるまで、このゲームは終わらない」
恋人の犬塚るみが、抜き身の日本刀を振って、そう言った。
ある穏やかな春の日、里見永治が知っている海辺の田舎町は世界を一変させた。
通い慣れた学園には暴力的な緊張が張り詰め、悪意をもった『敵』の姿は目に見えず、しかし確実に迫ってくる。
少年少女たちは大切なものを守るため、それぞれに武器を手に取った。
それは、最後の一人を作らないようにするための、心優しい戦いだった。
極限の運命にもてあそばれた二人を描いた、感動のヒューマンドラマ。

<感想>

ライターの作品としては、大雑把に捉えるならば、結局は毎回同じなんですよね。
叙述ありで、ファンタジーありで、でも結局のところはヒューマンドラマであると。
良い所は場面を盛り上げることの上手さであり、悪い部分は設定や土台となる部分の底の浅さであり、流れの悪い刹那的なところなのでしょう。

良い部分も悪い部分も変わりはありませんので、粗とかおかしな部分に気付かないのであれば、場面における盛り上がりにより今作も楽しめるのでしょう。
そういう人は、過去作も今作も大して違わないように感じると思います。

他方で、私みたいな過去作の時点で薄っぺらく見えてしまった人だと、まぁこのライターはこんなもんだろとなりますし、十分想定の範囲内ですので、先程とは違った意味で、過去作も今作も大して違わないよなと感じるのでしょう。

問題は過去作が良いと思えた人が皆上記の前者の結論になるかというと、決してそうではないということでして。
その結論の違いを生み出す要因としては、大きく二つの点が挙げられるのでしょう。
一つは、何作もプレイすることで慣れてしまったということ。
私はこの人の叙述トリックは上手くないと思っているけれど、叙述トリックに馴染みがなかった人には衝撃的だったのでしょう。
性質上、初めて見た作品は衝撃的に思えるトリックですから、その気持ちは分からなくもありません。
しかしこの手法は、慣れるほどに衝撃が薄れていきます。
当時は初めて触れたような人も、ライターの作品を経験することで、今回は免疫ができあがっているのでしょうから、同じことをやられても衝撃も感動も得られにくいのです。

もう一つは、本作が一本道のミドルプライス作品ということです。
まぁミドルプライスと言ったって、10時間以上あるわけですから、上手いライターならきちんと全部盛り込めるはずですけどね。
そこはとりあえず置いておくにしても、過去作よりボリュームが減りルートが減ることにより、以前よりも描写が足りない部分が増え、底の浅さや作品の薄さに気付かされてしまうケースが増えやすいのでしょう。
だから過去作に思い入れがあって、過大視してしまうと、今作は物足りなく感じやすいのだろうなと思いました。

まぁ個人的には上記のような考えでしたので、多少のもの足りなさはあるにしても、十分想定の範囲内でしたし、ぶっちゃけシナリオには、あまり興味がないところでもありまして。
個人的にはむしろ有葉さんの絵が好きなので、そっちの方が関心が強かったのです。
そして今作は演出の強化もあり更に良くなっていますので、満足度も上昇します。

なお、本作はシナリオの構成の関係もあり、最初は縦書きで、しかもテキストが画面全体に表示されるタイプになります。
画面全体を覆う、いわゆるビジュアルノベルスタイルは、最近の動きの増した立ち絵と相性が悪く、安易に組み合わせた最近の作品に対しては酷評することも多いです。
しかし本作は、立ち絵表示場面などでは、絵とテキストが被らないようにしたり、いろいろ工夫や配慮の跡が見受けられまして。
これなら十分ありだなと思いましたし、立ち絵とテキストの調整のしやすさという点を考慮するならば、横書きよりも縦書きの方がやりやすそうだよなと思ったものでした。
安易なビジュアルノベル形式も安易な縦書きも論外と思いますが、本作のような使い方は一つの手法としてありだと思うし、今後発展の可能性も大いにあるのかなと。
そういうこともあって興味深くもあり、好印象でもありました。

それだけに、その後にオーソドックスなテキスト欄形式になった時は、何だか普通の作品に成り下がってしまったようで、ちょっと残念に思ってしまいましたけれど。
まぁ今回のシナリオの構造からは途中で表示形式を変えることにも意味があり、テキスト欄形式に変わるということは仕方ないのかもしれませんけどね。
ただ、そういう理屈抜きにして、本作の縦書き全画面方式で、一本最後まで見てみたかったようにも思いますね。

<評価>

総じて、見所もあったし足りない部分もあったし、過去作を過大視するとガッカリだろうなと思う一方で、そうでなければ普通に楽しめる作品ってところでしょうか。
個人的にはシナリオは若干のマイナスに転じたものの、演出等のプラス分が増しただけ、むしろ総合でもプラスになった結果となりました。
そのため、総合でも佳作とします。

できれば有葉さんの作品を、もっと違うシナリオで見てみたいのですけどね、中々思い通りにはなりませんね。

ランク:C-(佳作)


ぼくの一人戦争[初回版]
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ぼくの一人戦争 dl

Last Updated on 2024-09-24 by katan

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