青い涙

2003

『青い涙』は2003年にWIN用として、CDPAから発売されました。

韓国のライターによる作品ということで、話題性も高かった作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・俺は昔、この町『夢幻』に捨てられていたらしい。
それを拾ってくれたのが俺の母代わりであり、家族であり…恋人のような「マナ」だ。
今はこの町に二人で暮らしている。時々はふたりで買い物に出かけ、町の人々と何気なく触れ合って何気ない会話をして、何気なくマナと生活している…。
いつも俺に優しいマナ。娘(モエミ)をとても愛している晴子さん。
逆に母をとても大事にしているモエミ。とてもおしゃべりなさえか。
いつも野原に座ってだれも見ることができないものを見る少女雪江。
温泉宿の経営者でいつも一緒のユリと彩。
温かいみんなのいるこの町で俺は、幸せだと感じている。
もちろんこれからも…。ずっと、マナと二人で…。

<前置き>

最近ではsteamなどの普及により、海外の作品に興味を示す人も増えました。
たぶん私は他の人よりも早めに洋ゲーに興味を持つようになったと思いますし、日本に移植された洋ゲーなんかも、大分前から好んでプレイしていました。
ADVの本場は欧米ということで、そっち方面の作品が多かったのだけれど、考えてみれば必ずしも欧米のゲームに限る必要もないわけであり、もっと違う国の違う価値観のゲームもやってみたいなと思っていたものです。
それが大体90年代の後半に入った頃の話であり、そんな状況の中で1999年に『西風の狂詩曲』というRPGが発売されました。
『西風の狂詩曲』は、韓国製の人気RPGをファルコムが移植した作品でした。
私のような洋ゲーとか海外の作品に元から興味のあった人は少ないとしても、昔のファルコムはPCゲーの最大手でしたからね。
他所のゲームは買わなくても、ファルコムだけはという人もいたと思いますし。
私も、一時期はファルコム製品は無条件で購入していましたしね。
そのファルコムが韓国のゲームに注目し始めたということで、その時点で韓国のゲームというものに興味を抱いた人も、それなりにいたと思います。
2002年には『Tomak』という生首を鉢植えで育てるSLGが移植され、そのインパクトのある光景から、かなり話題にもなりました。
文化が異なると全然発想の異なる、想像すらできない作品もありうるわけで、一般PCゲーをプレイしていた人ならば、そして尖った作品が好みならば、韓国製のゲームは注目せざるをえない状況だったと思います。
まぁ一般PCゲーは好きでもエロゲはプレイしないって人もいたでしょうが、私は一般ゲーもエロゲも好んでプレイしていましたので、当時の関心としてはいつ韓国製のエロゲが出るのかなということでした。
そんな中で発売されたのが、韓国人スタッフにより製作された本作だったのです。
どの段階で注目し始めるかは、当然ながら人それぞれなのでしょうが、いずれにしろ何だかんだで注目度の高い作品だったと思います。

<感想>

本作は基本的には恋愛もののノベルゲーなのですが、上記のように韓国スタッフによる作品ですので、儒教文化の色合いが強く出ています。
特に愛より情、母からの情というものが重視されていますので、価値観とか考え方が少し日本とは異なっています。
したがって、自分の価値観で理解できない作品は楽しめないという人だと、本作も合わない可能性はあります。
未プレイの人は、その点を事前に把握しておくべきでしょうね。

個人的には特別共感したとか、そういうわけではないものの、これはこれでありだよなと思ったわけでして。
ストーリーだけに限ってみるならば、少なくともマンネリの恋愛ものではないですし、それなりに良かったのだと思います。

ただ、ライターが日本人でないので仕方ないのかもしれませんが、テキストに癖があり、人によっては読み辛く感じてしまうでしょう。
シナリオ重視という言葉を用いる人は多いものの、その意味するところは時代によっても変わっていますし、人によっても異なっていたりします。
シナリオ重視と言いつつストーリーを重視しているような人も、今は結構見かけますからね。
だからその人が本当に何を重視しているのかは、その人が好きな作品を数本挙げてもらわないと判断できなかったりします。
もしストーリーを重視する人であるならば、本作の他とは異なる価値観や雰囲気に共感した場合、かなり楽しめるということもあるのでしょう。
逆に元々の、そして本来の意味であるシナリオ重視の人ならば、機械的に翻訳されたような本作のテキストを良いと感じられないでしょうから、本作を楽しめないでしょう。

まぁ、ある意味、分かりやすい指標でもあるんですけどね。
シナリオ重視とか、ライターの文章力がどうのって言い出す人も多いけれど、あんた本当に文章の良し悪しなんて分かるの?って話でして。
結局は自分に合ったか否かで、合えば文章力があると言っているような人も、かなりいるように見えますから。
そもそも高い文章力を求めるなら小説読めよって思っちゃうし、ライターの文章力が~って言っている人にしても、大半は自分の好みだけで話しているだけなので、だから私はライターの文章力云々って話は馬鹿馬鹿しいと思うのですけどね。
とりあえず普段文章力云々と語っているような自称シナリオ重視の人でも、もし本作を褒めている人がいれば、その人は文章の良し悪しなんて分からず、結局は単に好みだけで判断しているのだなって思ってしまいます。

私はくどすぎなければ、特にこだわらない方です。
もちろん、読んでいて上手いなと思うこともあれば逆の場合もあるのだけれど、上手いと思っても他が悪ければ総合では凡作と評することもあるし、あまり上手くないなと思っていても名作と評することもあります。
つまりシナリオだけで判断することはないということなので、本作のテキストも多少は気になりつつも、まぁ何とか大丈夫だろって感じでもありました。

むしろ問題を感じたのはストーリーや全体の構成の方でして。
ライターの伝えたいテーマが明確なのは良いけれど、全体に渡りその考えばかり押し付けてくるので、少し鬱陶しく感じてしまいます。
少なくともエンタメとしての楽しさの欠乏、ノベルゲームとして含まれる物語の範囲の乏しさは否めないでしょう。
しかも本作は長編ですしね。
良い文学作品には中短編が多いですが、ある特定のテーマを伝えたいのならば、本来はそれで十分なのです。
メッセージ性の高い作品で無駄に長くされても、かえってマイナスなだけであり、本作のストーリーが良いとは言い切れないよなと思ってしまいます。

<評価>

本作には音声もないですし、作りにしても全体的に垢抜けなく、いろいろマイナス面も多い作品なんですけどね。
でも、なるほどね、こういうのもあるのねと一応得るものはありましたので、総合では佳作としておきます。

まぁ普段とはちょっと異なる価値観を楽しめる人で、特に家族愛のネタが好きな人ならば、たぶん楽しめると思います。
ただ、テキストを重視する人には合わないと思いますけどね。

これはこれで悪い作品ではないのだけれど、ある意味想定の範囲内の作品でもありまして。
もうちょっと斜め上くらいから切り込んでくるくらいのを、個人的には期待していたのですけどね。
一時期は韓国発のゲームというものに興味を持っていたものの、アダルトゲームにしようとすると結局はこんなものかなと、本作が出た辺りで逆にその興味も失われてしまった作品でもありました。

ランク:C-(佳作)


青い涙

Last Updated on 2025-08-24 by katan

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