『僕は天使じゃないよ』は2005年にWIN用として、130cmから発売されました。
テキストの表現方法に非常に特徴があり、そこで賛否分かれると思うものの、個人的には好きな作品でした。
<概要>
商品紹介によると以下の通り。
「懐古調SMノベルゲーム。
舞台は震災の影響まだ色濃い大正末期から昭和初期の東京・・・。
希望に満ちた華やかさもいつしかズルリと腐り落つ。
出口の見えない不景気とジワリと近づく軍靴の響き。
時代はくだんの「漠然とした不安」にドロリと沈みゆく。
倒錯した性を売り物にする秘密の倶楽部「マスカレヱド」。
不安を仮面に隠した紳士淑女が群がるサドマゾ恍惚の宴。
そこで主人公市蔵は柘榴という不思議な女と知り合い、過激な倒錯の世界を体験する。
市蔵はあししげくに異常なパーティへと赴き、新たな世界を開いていく。
また市蔵は同時に身分を隠して孤児院で働く清楚な少女百合乃とも通じていた。
最初は無垢な百合乃も次第に羞恥を中心とした歪んだ性への素養を見せはじめる。
市蔵は二重生活を送りながら正反対の少女と深い倒錯へと耽ていく。
原画はさっぽろももこ、シナリオはうつろあくたが担当。
<感想>
駄目な人間、弱さを持った人間が運命に流され翻弄され、悲劇に向かっていく物語。
退廃的な雰囲気であり、こうした雰囲気は好きな人も結構いると思うのですが、ハッピーエンドでなければ駄目って人には合わないでしょう。
私はこういう雰囲気の作品は好きでしたので楽しめましたが、ボリュームの少なさも相まって、もう1つ突き抜けきれていないので、ストーリーだけで名作と言えるほどではないのかなと。
せっかく対照的な境遇のヒロインを用意したのですから、もう少し絡めても良かったのかなと思いますけれど。
その辺を上手く処理してあれば、少なくとも個人的には名作だったでしょうに。
どちらかと言うと、本作は雰囲気ゲーなのでしょうね。
まぁでも、本作に関しては、一番賛否分かれるのがテキストなのでしょう。
本作のシナリオは、会話以外の地の文が本当に最小限です。
場所や状況を淡々と説明しているだけで、その書き方から見ても、芝居や舞台などの台本をそのままテキストとして表示した感じです。
一般的なノベルゲーとは明らかに異なっていますので、一般的なノベルゲーが好きな人ほど、拒絶してしまうように思います。
私も最初に評判を聞いたときには、何だそれって思ったのですけどね。
でも、ものは試しと思ってやってみたら、思いの他に楽しめました。
私の場合は無駄に長いテキスト、幼稚で下手な思想の押し付けが嫌なので、むしろこういう風に無駄をバッサリ省いてくれた方が、自然に物語の中に入っていけるようです。
ニュアンスとしては会話だけで進行する作品で、グラフィックだけでは表現しきれない状況説明の部分を、補足として少しばかりテキストで書いた作品なのだと。
未プレイの人は、そんな作品なんだと思った方が良いでしょう。
こればっかりは上手い下手関係なしに好みの問題としか言いようがなく、私は楽しめたし他にもそういう人も多いとは思うものの、逆に全く駄目という人もいるでしょうね。
<グラフィック>
さっぽろももこさんの絵は昔から好きなのですが、塗りの影響もあり独特の雰囲気があって、とても良いですね。
萌えとは無縁なので、今受けやすい主流ではないのでしょうけれど。
ただ、CGの質は高いと思うのですが、物語の設定と反して、あまりエロくはありません。
抜き目的だと楽しめない可能性は高いので、そこは注意が必要なのかなと。
<ゲームデザイン>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
本作ではチャートが表示されますので、いつでも任意の場所に戻って楽しむことができます。
あるルートをクリアすると別のルートが開放されるのですが、それもチャートで表示されますので、親切設計と言えるでしょう。
もっとも、その親切さが逆にプレイ時間の短縮にもつながってしまい、総プレイ時間は少なくなってしまうともいえるのでしょう。
でも、難しくして無駄な時間を費やす羽目になるよりはマシでしょう。
ストレスなくプレイできることにより、その無駄な時間が短縮された結果、その分のプレイ時間が減ったというのであれば、そこはむしろ評価すべきだと思います。
<評価>
私はテキストが自分に合うか否かに対して、人を選ぶという表現を用いることは間違っていると思います。
それを言い出したら、全部の作品が人を選ぶってなりかねないですから。
とはいえ、本作の場合は、テキストの書き方そのものが、他のすべてのノベルゲーと異なっているので、これはどうしても合う合わないが出てくるのでしょうね。
構造上、じっくりテキストを読みたいって人には向いていないですし、こういう作品ばかりになられても困ってしまうのかもしれません。
でも、中にはこういう作品があっても良いと思うのですよ。
もう1つ突き抜けた部分に乏しいので良作にとどめておきますが、個性が際立っていることは間違いなく、個人的には好きな作品でしたね。
Last Updated on 2026-02-13 by katan



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