タッチ 背番号のないエース

『タッチ 背番号のないエース』
1986年4月12日公開の、劇場版1作目。
主題歌が懐かしくなり、ふと見て見たくなったもので。

タッチ 背番号のないエース

<概要>

双生児の兄弟、上杉達也と和也は、幼なじみの浅倉南と明青学園の高等部へ進学した。
和也は、野球部へ入部を決めたが、達也は何とはなしに迷っていた。

<感想>

タッチの劇場版1作目。
和也が県予選の決勝戦にまでコマを進めるまでの話。
ときどき、ふと聴きたくなるのが、この映画の主題歌である「背番号のないエース」。
自分は、80年代以前のアニメに多かったような、とりあえずタイトル名連呼しとけみたいな主題歌は好きではない。
それは、自分が子供だった当時から思っていた。
しかし、だからと言って90年代後半のフジテレビ系みたいな、作品の内容と無関係な内容の、とりあえず有名バンド使っとけみたいなのはもっと嫌いであるわけで。
曲単体として良いものでありつつも、それが作品の内容にしっかりとマッチしているのが、やっぱり主題歌としては最高なのだと思う。
その観点から考えた場合、最高と思える主題歌の一つが、「背番号のないエース」である。

しかしながら、主題歌に関しては最高と言いつつも、肝心の映画の内容に関しては、長らく興味が持てなかった。
それは出来云々という問題ではなく、あくまでも自分自身の問題である。
最近は違うかもしれないけれど、昔のアニメの劇場版って、TV版のダイジェストみたいなのが結構多かった。
TV版を見ていないのならともかく、既にTV版を見ていて、それにもかかわらず省略されたダイジェストを見るという行動に、全く必要性を感じられなかったからである。
他方でTV版と少し変更を加える作品もあるが、それはそれでTV版の扱いはどうなるのかと思ってしまうし、その矛盾が気になってしまうから見る気になれないのである。
だから私は、昔は重度のガンダムオタクであったにもかかわらず、初代ガンダムの映画とかも見ていない。
『タッチ 背番号のないエース』にしても同じことで、公開時は見ておらず、おそらくレンタルビデオのセールの時に、何かのついでにふと気が向いて借りたとかそんなことだったと思う。
そのせいもあってか、見たはずなのに、あまり記憶が残っていなかった。

最近になって、ふとまた気になったことから、改めて見てみた。
基本は原作に準拠しつつも、決勝戦では達也が和也に扮して投げており、一部がオリジナルとなっている。
『タッチ』という作品は、独特の「間」であるとか、細かな心理描写の積み重ねとかが肝の作品であると思っている。
だから数時間という制約のある映画には向いているとは到底思えず、実際に見てみても全体的な粗さは否めない。
もっとも、あくまでも原作を読んだ上でTV版も見た上での意見であり、あのボリュームをこの短時間によく纏めたという意味では、良く出来た作品とも言えるのだろう。
ラストに関しては、実際には無茶苦茶な話かもしれないけれど、球場に一人現れ、一言も発しないまま黙々と投げる姿は印象的で、作品としては良かったように思う。
まぁ、久しぶりに見ても楽しかったし、いろいろ書いては見たものの、結局のところは主題歌の存在につきるのかなと。
その点において、ずっと自分にとって忘れられない印象的な作品なんだと思う。


タッチ 背番号のないエース
タッチ 劇場版 DVD-BOX
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Last Updated on 2024-04-13 by katan

コメント

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    劇場で見ましたねー
    確かデートで見たんだと思う(笑)
    このタッチ(アニメの方ね)はとてもエポックな作品だったと思います
    月曜の朝、会社で普通に女の子たちが昨日見たタッチの話をしてるんですね
    もうほとんどドラマと同じ扱いでした
    当時としては画期的で、会社でアニメ話が盛り上がるなんてことはなかったですから
    これ以降、ナウシカとかの宮崎アニメの影響もあって、本当の意味でアニメが市民権を得ていったんだと思っています
    この劇場版に関しては、まあ可もなし不可もなしってところでしょうか
    TVシリーズがとても良い出来だったので、わざわざ総集編的な映画は必要ないと思ってましたので
    個人的には後半のストーリーに無理がありすぎ(まあオリジナリティを加える必要があったのだろうと推察しますが)で不自然だったなあ
    >『タッチ』という作品は、独特の「間」であるとか
    その通りですね
    杉井ギサブローの力量を感じさせた作品でした
    と同時に、シリーズで演出していたのが当時は珍しい女性監督でしたのでその感性が活かされていたようにも思いましたね
    TVシリーズは大変出来がよく(ビデオセット買った(笑))、特に一部のクライマックスである和也の死の回ね。
    あれはもう、ある意味で原作を超えてしまっていました
    漫画ではどう頑張っても不可能なSEや劇伴、声優の演技力に加え、あのシーンでは敢えて無音という演出をしているんですね
    これは本当に凄かったと思います
    でも、この作品はあの頃だったからこそ(あるいはあの年齢だったからこそ)楽しかったのだと思います
    今は何か恥ずかしくて見られませんでした

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > これ以降、ナウシカとかの宮崎アニメの影響もあって、本当の意味でアニメが市民権を得ていったんだと思っています
    ニュースだか何だかで、「南ちゃんを探せ」ってコーナーもありましたね。
    そういう点も考慮すると、一般人への影響という点では、
    どのアニメよりも影響が大きいかもしれませんね。
    > この劇場版に関しては、まあ可もなし不可もなしってところでしょうか
    > TVシリーズがとても良い出来だったので、わざわざ総集編的な映画は必要ないと思ってましたので
    > 個人的には後半のストーリーに無理がありすぎ(まあオリジナリティを加える必要があったのだろうと推察しますが)で不自然だったなあ
    まぁ、あの分量をまとめたっていう意味ではよくできてたのでしょうが、
    総集編的な内容は必要性を感じないですよね。
    > 杉井ギサブローの力量を感じさせた作品でした
    > と同時に、シリーズで演出していたのが当時は珍しい女性監督でしたのでその感性が活かされていたようにも思いましたね
    当時は杉井ギサブローさん凄ぇって印象しかなかったのだけれど、
    監督自体は女性でしたか。
    調べてみたら、好きな作品を結構手がけているようでした。
    > 特に一部のクライマックスである和也の死の回ね。
    > あれはもう、ある意味で原作を超えてしまっていました
    > 漫画ではどう頑張っても不可能なSEや劇伴、声優の演技力に加え、あのシーンでは敢えて無音という演出をしているんですね
    > これは本当に凄かったと思います
    あのシーンは凄かったですね。
    数年ほど前になりますが、原作を知っているために楽しめないケースもあり、
    それで一時期アニメから離れていたのですが、
    タッチは原作もよく知っているにもかかわらず、
    再放送も含めて何度も見た記憶があります。
    何度見ても楽しめるくらい全体の完成度が高く、
    特に個人的には音の使い方が上手い印象がありましたね。
    > でも、この作品はあの頃だったからこそ(あるいはあの年齢だったからこそ)楽しかったのだと思います
    > 今は何か恥ずかしくて見られませんでした
    私はまだ楽しめていて、因みに漫画の『MIX』も読んでたりしますが、
    どうなんでしょうね。
    自分も何かの機会に、もう無理だと思うようになるんですかね。

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