『Renaissance』は2001年にWIN用として、JINから発売されました。
言語に着目した非常に珍しいタイプの作品。
こういうのがあるから止められないのですよ。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
天童弘司は、展覧会で最年少受賞を記録した芸術の卵。
天才的な画家と師事する叔母・佳枝の援助を受けて独り暮らしをしていた。
仕事上の多忙を理由に母親の病床を訪れなかった父親を憎んでいたが、親子関係を修復する父親に戸惑ったものの、時を経てわだかまりが解けていった。
大学進学を考慮して、父親の呼びかけに応え東京に帰る決意をする。
その帰京を決めたことが引き金になったかのように、弘司の周辺で次々と不可解な事件が発生する…
<感想>
最初に興味を持った理由はCGでした。
水彩画風の絵柄というのは嫌いな人は嫌いなみたいですが、ゲームでは少数派だってこともあるからか私は結構好きだったりします。
本作も水彩画風のグラフィックでして、それで雑誌で見た時から惹かれてたんですよね。
キャラデザ的には当時の流行の萌え絵とも違うので、おそらくアダルトゲームをプレイする多数派に好まれるタイプとは異なるかと。
しかし物語の雰囲気とも上手く調和していたし、この物語にはこのグラフィックがベストだったんじゃないかと思います。
そういう観点も考慮し、個人的には結構ポイントは高いです。
もっとも、本作に関しては、グラフィック以上に強烈な特徴がありました。
これは全くの予想外で、久しぶりに凄く興奮した記憶があります。
言語学というのでしょうか。
私はその方面には疎いので全く知りません。
なので唯名論とか実念論とか言われても、一般常識レベル以上のものは分かりません。
しかしそうした内容を上手くゲームに取り入れたストーリーは、非常に高く評価できるかと思います。
これは、俗にインテリなゲームとかって言われる作品なのでしょう。
こういう類の作品って、嫌いな人は嫌いですよね。
だから万人にはオススメとは言えないかもしれません。
でも逆にこの手の作品が好きな人には、間違いなく満足できる内容じゃないかなって思いますね。
読んでいて、久しぶりに知的好奇心をくすぐられる作品でした。
とは言うものの、こういうインテリ風なゲームって、設定垂れ流しで読んでてダルイってのも多いです。
小難しいことを並び立てて、それを理解できなければ理解できない人が悪いみたいな風潮もありますよね。
でもそれは変な話で、理解させる努力がなされていない作品は、端的に駄目な作品なんだと私は思います。
その点、本作は上手く消化していましたね。
一見すると難しそうな概念をわかりやすく、ストーリーの中に上手く織り交ぜながら、しかもグラフィックを用いながら説明してくれましたので、ど素人でもストーリーに必要な範囲では十分に理解できると思います。
専門書ではないのだから配慮は必要だと思うし、小説でなくゲームなのだから、テキスト以外の手法も用いて説明されるべきです。
だからこういう配慮がなされることは本来当然なのかもしれませんが、実際にはそんなゲームはほとんど見かけないわけでして。
だからこそ、それができている本作には素直に賞賛を送りたいなと思いますし、他との相対評価で非常に浮き上がってくるのです。
こういう作品は滅多にお目にかかれないですね。
その年を代表するどころか、数年に1本というレベルでしょう。
『Renaissance』の持つ魅力に関してだけ見れば、間違いなく傑作レベルです。
ストーリーだけでなく、グラフィックもシステムも異端と呼べる作品でしょう。
癖が強いだけに万人向けとは言えないですが、他では決して得られない魅力も一杯詰まっています。
忘れた頃にこういうゲームが出てくるから、アダルトゲームも中々止められないんですよね。
と言うことで非常に好きな作品だったのですが、若干の注意点もあります。
ゲームシステムは基本的にはノベルタイプのADVなんですけどね。
普通は文章で出てきた選択肢を選ぶのですが、本作の場合は芸術も絡んでくるからか、色を組み合わせることで進行しました。
この組み合わせとフラグとの関係性が分かりにくくてね、その点は結構不評でしたね。
凝り過ぎて、かえって失敗したパターンと言えるでしょう。
プレイする場合は、最初から攻略サイトを参照するのがベターでしょうね。
それと、1点だけストーリー面で補足しておきます。
本作は表面上はマルチストーリーの作品ですが、最後で全てがつながります。
いわゆるオールクリアが必須なゲームってやつですね。
問題はこの部分なんです。
最近は最後に設定を全部上手く纏めてきたということで、評価されてきている気がします。
近年は最後で全部纏めにかかる作品が評価されることが多いですからね、その風潮からすれば納得もできます。
しかし、私はそれには賛成できないんですよね。
いや、きちんと伏線を張っていて、それを解消しつつ種明かしっていうなら満足するし、そういうのは好きな上に構成自体評価できるから、かなり高く評価もします。
でも、何もそれらしき素振りを見せてないのに、最後で実は全部つながってましたとか言われても、単にしらけるだけです。
そういうのは風呂敷をたたんだとか纏めてきたっていうのではなく、単にこじつけただけと思えてきますから。
確かにプレイしていて驚きを与えることはできるかもですが、驚きを与えられれば良いってものじゃないですからね。
そのため、私は本作の最後の展開は評価していません。
これは本作に限ったことではなく、同じようなことが言えるノベルゲーは他にありますが、私はどれも評価していないですしね。
もっとも、私が評価してないってだけで、近年の風潮からすれば、特にトリック好きなシナリオ重視の人には好まれそうですけどね。
そういう意味では、私以上に評価する人もいるでしょうし、傑作と判断する人も出てくるでしょうね。
<評価>
いろいろと問題点もありますので、結論としては名作ではあるけれど、僅かに傑作には及ばないって感じでした。
もっとも、繰り返しますように言語学関連のストーリーは絶品です。
主観的にはかなり好きな作品ですし、もっともっと知られていても良い作品だと思いますね。
ランク:A(名作)
Last Updated on 2025-02-18 by katan




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