ライム

1989

『ライム』は、1989年にPC98用として、ソフトウェアハウスぱせりから発売されました。

ブランド第2弾となる作品であり、当時まだ珍しいPC98用の作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

まずは、簡単なあらすじから。
主人公は、高校3年生の近藤俊彦(名前に時代を感じるw)。
俊彦は受験勉強のために図書館に通っているのですが、そこで見つけた本の中に封筒が挟まっており、中を見ると、石川県の古い地図と加賀の財宝について書かれた、古文書の切れ端が入っていました。
そこで俊彦は、宝を求めて出発。
金沢の観光名所などをまわることになります。

<総論>

ソフトウェアハウスぱせりと言われても、そろそろ知らない人も増えているのでしょうか。
本作自体はADVになりますが、ADVだけでなくクイズやアクションやRPGなど、幅広いジャンルを手がけたブランドだったんですよね。

ちなみに、ここ10年は新作がないものの、同じ会社の姉妹ブランドにU・Me SOFTがありますので、会社としては89年からの老舗でありつつ、まだ頑張っていることになります。

そのぱせりのデビュー作が89年の『セロリ』であり、ブランド2作目で初のADVとなったのが本作でして。
当初は、ブランド名とタイトル名がごっちゃになりそうだったものですw

<感想>

本作はPC98用の作品でした。
本作が発売されたのは89年のことですから、当時の主流はまだPC88でした。
そのため、PC98用のアダルトゲームってだけでも珍しいですね。

画像を見れば分かりますが、塗りも特徴的ではあるものの、まず一般的な観点から言うならば、PC98用ということで、アナログ400ラインの美しい画像が特徴と言えるのでしょう。
まぁ、個人的にはそれほど綺麗な絵とも思わなかったのですが、キャラデザも何だかんだで結構好きでしたし、グラフィックに関してはとても良かったと思います。

私の印象だと、89年頃から学園を舞台にしたり、高校生を主人公にしたラブコメが増えた印象があります。
もっとも、単なる学園恋愛ものではなくて、最初に事件か何かが発生してプレイヤーに目的が与えられる点で、今の目的のない日常から始まる学園ものとは異なるのでしょう。

本作は、学園そのものを舞台としているわけではありませんが、主人公は高校3年生です。
また、金沢の行った先では、観光を楽しむ女子大生や、修学旅行中の女子高生などと会話をすることになりますので、広い意味では学園ものと似た雰囲気となるのでしょう。
さらに、上記のあらすじにも書いたように、主人公は最初に宝の地図を発見したことで宝探しに出かけたのであり、最初から宝探しという目的がプレイヤーに与えられています。
したがって、少し変則的ではあるものの、89年らしい作品と言えるように思いますね。

本作は、今風にいえばシナリオゲーになるのでしょう。
ミステリーやSFの重厚なストーリー重視作品は、それまでのアダルトゲームにもあったのですが、ストーリーを楽しめる作品でありつつ、わりと軽い雰囲気のエロゲらしい作品となると、意外と登場が遅いわけでして。
そういう作品が増え始めたのも、やっぱり89年頃なんだと思います。
だから本作は、ジャンルとしても旬で新鮮さを感じられましたし、そのこともあって楽しむことができました。

<評価>

こういう作品は出た時代背景も大事でして。
もし発売が1年か2年遅れていたら、佳作程度に感じていたことでしょう。

しかし、本作の発売された時期を考慮すると、なかなかに特徴のある作品といえるわけで、一応良作と言って良いのではないでしょうか。

ランク:B-(良作)

ライム

Last Updated on 2025-05-18 by katan

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