『地獄の練習問題』は1984年にPC88用として、ハミングバードソフトから発売されました。
今のADVは再プレイ必須ともいえますが、初期のADVは1回クリアしたら終わりというイメージでした。
そんな中、本作はADVに再プレイの必要性を示した意欲作でした。
<概要>
ゲームジャンルはコマンド入力式ADVになります。
ADVは1回解いたら終わりって意見も聞きます。
確かに、そういう側面が否定できない作品も多いでしょう。
特に最初期のADVには、そういう作品も多かったです。
しかし、もしその解き方を採点されたとしたら、一生懸命考えてクリアして、それでお前はこの程度だと提示されたとしたら、やっぱりちょっと悔しいと思いませんか?
今度はもっと良い成績をとってやろうと、再挑戦したくなるのが人ってものです。
そこを上手くついたのが、この作品だったのです。
<感想>
本作の最たる特徴は、クリアした時に訪れます。
すなわち、本作は、最後でそれまでの行動内容によって点数が表示されるのです。
確か、一応60点以上でクリアだったはずなので、単にクリアだけなら難しくはなかったはずです。
でも、100点を目指すとなると、結構きつかった様に思います。
この、点数で表示されるという発想は、非常に良かったですね。
もちろん、ストーリージャンルによっても効果は異なるのであり、たとえば恋愛系のADVには不要なシステムだと思いますが、他方で、推理系とか自分で考えることを試される系統のADVには、これは非常に効果的だと思います。
実際、後の推理ゲームとかでも、時々採用されているケースがありますしね。
この作品の価値の大半は、その点に集約される気がします。
点数表示は、リプレイの必要性を見出しただけでなく、人により展開が変わりうるという事で、マルチエンドやマルチストーリーのきっかけにもなりえたでしょうし。
ADVの可能性を開いた作品として、本作非常に意味のあった作品だったのではないでしょうか。
さて、システム面は良いとして、中身はどうだったのでしょうか。
まず、『地獄の練習問題』というネーミングセンスが良いですね。
あらすじとしては、主人公は倍率873倍という、天国の上級天使選考試験に挑む下級天使で、試験内容は地獄めぐりの実技試験となります。
ヒトラーやマリリン・モンロー、ジョン・レノンやクレオパトラ等の有名な死者たちから情報収集をしつつ、血の池地獄や針の山などを回り出口を目指すのです。
設定的には、とても興味をそそられると思います。
本作は、点数表示が大きな特徴とは書きましたが、つまらない展開で点数だけ表示されても面白くありません。
本作の場合、ちょっとシュールなこの世界観があったからこそ、終始プレイを楽しむことができたのです。
<感想>
その明確な特徴から、総合でも名作といえるでしょう。
ただ、ちょっと小粒な感じがしましたね。
それと、入力も英語だけだったはずですし、細かな部分で物足りなさもあったわけでして。
名作であること自体は間違いないですが、傑作足りえなかったのはそこら辺が理由となります。
今はダウンロード版が楽しめるみたいですが、あまり見かけないタイプの作品ですからね。
暇つぶしとわりきれば、案外これからプレイしても楽しめる作品かもしれませんね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-07-26 by katan



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