『はっちゃけあやよさん3 「私、逝っちゃったんです」』は、1991年にPC98用としてハードから発売されました。
ある意味伝説的な存在でもあった、はっちゃけあやよさんシリーズ。
本作はその第3弾になりますね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系のADVになります。
本作は、ボロ糞に言う人も多い中で妙に根強いファンも多い、ある意味伝説の「あやよさんシリーズ」の3作目になります。
タイトルにもありますように、今回のあやよさんは、ゲーム開始時に轢かれて死んでしまいます。
その時に一緒に友人のトモコさんも亡くなり、二人で閻魔さまの審判を受けることになります。
トモコさんは強制的に地獄行きなのですが、あやよさんは選択肢の結果により天国と地獄のどちらかに行くことになり、それぞれの展開を楽しむことになります。
<ゲームデザイン>
まず、ゲームシステムについては、上記のようにノベルゲーになります。
本作は91年の発売ということもあり、まだノベルゲーという言葉自体が浸透していませんでした。
PCゲーを知らない人だと、ノベルゲーの存在自体、知らなかったでしょう。
しかし本作には、コマンドの類は一切存在しません。
途中に選択肢が1個あるだけで、他はクリックで読み進めるだけです。
したがって、構造的には、今のノベルゲームと全く違いはありません。
テキストも半分オートみたいな感じで進行しますし、まさに電脳紙芝居といった感じです。
基本的には今のノベルゲームと変わらないのですが、しいて言うなら文章量の違いでしょうか。
本作では、テキスト欄に複数のキャラのセリフが表示されます。
他方、最近は一文ごとにクリックを要する作品も増えています。
したがって、本作の方が、最近のノベルゲーよりも画面内に表示される文章量が多いといえます。
個人的には、一文ごとではなく、本作のように、ある程度まとまって表示された方が良いですね。
もちろん、逆に画面全体にテキストが表示されても、今度はグラフィックが見にくくなります。
結局のところ、本作くらいのバランスが、ちょうど良いように思います。
また、本作では、複数のキャラのセリフが一画面内に表示されているものの、誰が話しているのかも色で区別しつつ表示していました。
そのため、誰が話しているかが分らなくなることもありませんでした。
ゼロ年代前半のノベルゲー等では誰が話しているのか分かりにくい作品も結構ありましたからね。
本作のようなシステム的配慮は、目立たないかもしれませんが、実は重要なことなのでしょう。
本作は、ゲームとしてのやり応えを求めると、間違いなく不満を感じてしまうのでしょう。
逆に、進行を阻害する物は何もないわけですから、ストレスなく進めることはできました。
本当は、ゲーム部分も凝っている方が良いのかもしれません。
しかし、中途半端にコマンドを繰り返させ、それでストレスがたまる作りになるくらいなら、むしろこっちの方が楽だし、潔いとも思えます。
特に「あやよさんシリーズ」は、その馬鹿さ加減も人気の理由ではあるものの、基本的にはシナリオではなくエロないし抜き重視の作品でしたからね。
エロないし抜き重視の作品なのですから、ストレスのない実用性重視ということならば、システム的にもこれで良かったのかもしれません。
レトロゲーには興味あるけれど、昔のコマンド選択式には抵抗のある人も、本作なら全く問題なく楽しめるでしょう。
なお、本作は通販で購入するとオマケがついてきて、オマケの方がもう少しゲーム性が高くなっています。
<感想>
ストーリーは前述のように、最初の選択で天国行きと地獄行きに分かれます。
天国に行けば千手観音に千の手で絡まれたり、地獄に行けば秦広王とか十王が出てきたりするわけで、天国と地獄にちなんだ神様らによって、あやよさんはエロい目に合うことになります。
つまり、結局どっちに行っても、あやよさんを待ち構えているのはエロってことですね。
ちなみに、上記のように天国と地獄に分かれるものの、片方を選んで楽しんだ後に、ループして、結局もう片方も選ぶことになります。
そして両方を見た後に、最後に閻魔さまとHをして、あやよさんは無事に生き返ってきます。
つまり、選択肢によってシーンを見る順番が変わるだけにすぎず、本作は、実質的には1本道のノベルと言っても間違いはないかと思います。
H重視の構造というのは、これまでのシリーズ過去作と同様ではあります。
ただ、これまでのシリーズ過去作の場合、ボリュームが異常に少なかったこともあり、キャラの特徴もハッキリしていない部分もありました。
本作が発売されることにより、あやよさん(巨乳&バカ)とトモコさん(貧乳&勝気)の個性が明確になり、主要キャラと作品の魅力が格段に増したと言えるのでしょう。
また、ヒロインが死亡したうえで、天国や地獄での神様らとのHという設定が非常に斬新であり、これまでにない新鮮さも備えていました。
<グラフィック>
そして忘れてはならないところでもありますが、グラフィックが他所よりも綺麗なのが、このシリーズの特徴でした。
原画自体は特に上手いってわけでもないので、一画面だけを見るとそうでもないのですけどね。
アニメーションがあったり、総合的にエロさを感じるという観点からは優れていたのです。
この点については、本作でも更に進化し、よく出来ていましたね。
<評価>
総合では良作ってところでしょうか。
基本的には馬鹿ゲーですし、ボリュームを含め足りない部分もあるので、客観的にと考えるのならば名作とまではいえないでしょう。
しかし過去作と比べた場合に、この作品で化けたというか、皮を一枚破って突き抜けた感があったのも確かです。
ちなみに、シリーズはその後に5作目まで続きます。
しかしその後の作品では、例えば4では変にパロに頼り個性が薄れてしまいます。
また5の段階では周囲の進化に追いつかれてしまい、シリーズの特徴でもあったグラフィックの良さが目立たなくなります。
そういう事情等もふまえますと、本作は、主観的にシリーズで最もインパクトを感じた作品で個人的に最も好きというだけでなく、本作はシリーズを代表する作品であり、あやよさんシリーズの最高傑作と言えるのではないでしょうか。
ランク:B(良作)
PC98版
はっちゃけあやよさん1-2-3forWindows(1~3を収録したWIN版)
Last Updated on 2024-08-22 by katan
コメント