同窓会 ~Yesterday Once More~

1996

『同窓会 ~Yesterday Once More~』は1996年にWIN用として、フェアリーテールから発売されました。

WINDOWS95時代の恋愛ゲームの幕を開けた作品であり、特にグラフィックが綺麗でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系のADVになります。

あらすじ・・・
果たせなかった想いをいま…
「好きだ…」その一言がいえなかったあの頃、少しだけ勇気が足りなかったのかもしれない。
今も続くこの胸のときめきをあの人に伝えたい。
大学生になった主人公のもとへ中学時代所属していたテニス部の同窓会の知らせが届く。
初恋の人との再会、幼なじみとの再会、そして喜びを分かち合った仲間達との再会。
太陽の陽が降り注ぐ高原を舞台におくる青春の純愛ドラマは6泊7日のバカンス。
初恋を成就させるか、新たな恋をみつけるか、恋のキューピッド役に回るのか。
甘酸っぱく、ときに切ない青春の1ページをあなた自身の手で綴ってください。

<前置き>

windows95が発売されたことで、アダルトゲームの中にもwin用のゲームが発売されるようになりました。

とはいうものの、96年の中頃までは、WIN用のゲームと言っても旧作の移植がほとんどだったと思います。
つまり、windows95の性能を活かしたゲームなんて、すぐには発売されなかったんですよね。
オリジナル作品でwindows95を持ってて良かったと思えるような、初めての恋愛系作品が本作だったのです。

<グラフィック>

同時期のオリジナル作品の有力作品が、まだPC98用だった時代ですからね。
とにかく本作のCGの綺麗さには目を奪われたものです。
画面のレイアウトなんかも98時代とWIN時代では異なりますし、今だと当り前になって逆に気付けないかもしれませんが、その変化はとても新鮮で衝撃的でした。

CGの綺麗な作品というのは、その時代その時代に常に存在します。
もっとも個人的には、96年における本作のインパクトは、後のどの作品よりも大きかったかなと思います。

加えて、本作は原画が水谷とおる(甲斐智久)さんでした。
後の『センチメンタルグラフィティ』で一般にも有名になりましたが、この当時、最も人気のあった方でしょう。
ゲームがなくても絵だけでグッズが売れまくっていたわけですし、それくらいファンを魅了する絵で、そのキャラが綺麗なCGのアダルトゲームで楽しめるわけですからね。
これはかなりインパクトがありましたね。

<ゲームデザイン>

ゲームジャンルとしてはノベルゲーになるものの、厳密には、マップから移動先を選ぶタイプになります。
移動した先でキャラと会話し、選択肢が出たら選ぶというものですね。

発想としては、『同級生』を簡易化したようなシステムとも言えるでしょうか。
いや、画面クリックの要素はないので、『下級生』を簡易化したと言った方が相応しいですかね。

これはゲーム性を期待した人には物足りなかったかもしれませんが、ノベルゲー好きのように、単純にストーリーやヒロインとの恋愛に期待する人には良かったでしょう。
高難度のゲームは少しずつ敬遠されるようになり、96年は高難度を追求した作品もある一方で、システムの簡略化を図った作品も増え始めていました。
アイデス系の作品も、作品により方向性は異なるものの、あの手この手で簡略化を図っています。
本作もその中の一つであり、ゲーム部分は簡略化し、その分、キャラやCGを強調したと言えるのでしょう。

また、如何せんまだ十分な性能のPCを持ってない人も多かったので(windowsを入れたものの、それで一杯一杯って人も多かったです)、あまり複雑なシステムすることで動作が重くなるくらいならば、これで良かったかと思います。

<感想>

ストーリーについてみてみますと、まず主人公が大学生ですので、その点は今でも、というか今の方が逆に新鮮に感じられるように思います。

それと、本作の発売時は既に萌えという言葉は出てきていたものの、まだ記号化された萌えが定着する前ですからね。
萌えで良し悪しを判断する人には、たぶん本作は楽しめないと思います。
しかしその分、自然なキャラの言動や恋愛が描かれているわけで、記号化されていないヒロインの魅力が詰まっています。
こういう恋愛ものは、今ではほとんどありません。
その後の萌え全盛期のユーザーには、あまりうけなかったかもしれませんが、今となっては逆に新鮮に感じられるのではないでしょうか。

まぁ、ここが作品の難しいところなのでしょうね。
良し悪しは別として、流行といいますか、時代の流れとしては、記号化された萌えヒロインが求められつつあったわけでして。
だからWIN95でPCゲーを初めて手にする新規ユーザーには、記号化された萌えヒロインの作品の方が受けが良く、本作のような作品は地味に見えてしまうのでしょう。
他方、PC98ユーザーには、記号化された萌えヒロインがいなくても支持はしてもらえたのでしょうが、96年だと、そのユーザーたちがまだWIN95環境を揃えきっていなかったのです。
実際、本作をプレイしたくてもWIN95環境が揃っていないことから、プレイすることができないという声を何度も聞いたことがあります。
つまり、本質的に内容面で本作を支持しそうなのは、従来からのPC98ユーザーであり、そう考えると、本作はPC98用として発売した方が、ユーザーからの支持を得ていたように思います。
グラフィックではWINゲーとしての存在感を見せつけた本作ですが、作品の内容だけを考えるとPC98用に向いていたということで、何とも皮肉な結果となった作品でした。

<評価>

まずは絵の魅力につきるのでしょう。
ストーリーも当時は結構評判は良かったかと思いますが、基本的にストーリー・テキスト・システム等は、良作程度の出来だったんじゃないかと思いますね。
他の部分は堅実に守りつつ、グラフィックと可愛いキャラで大幅にポイントを稼いで名作と判断します。
そういう作品ですので、今となっては良さが伝わりにくいかもしれませんが、当時は結構インパクトが強かったですね。

総合としてはそんなところですが、今は記号化されない普通さが、時々無性に懐かしくもなってくるのです。

ランク:A-(名作)


同窓会

Last Updated on 2024-06-23 by katan

コメント

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    昔やりましたね。懐かしいです。
    物語はおもしろかったですが、やたら難しかったですね。何処に攻略キャラがいるのか、わからず必要フラグの時間がかぎられていて攻略本なしではとてもクリアできな
    い難解ゲームでしたね。
    それにしても今のF&Cはひどすぎます。
    ここまで進歩のないメーカーもないですね。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >何処に攻略キャラがいるのか、わからず
    ちょっとやり直せば大丈夫なので個人的にはあまり気にならなかったのですが、不親切ではありましたね。
    当時はこういうゲームも結構あったのですが、今だったら叩かれるのかなと、最近出た某SLGの評判を耳にしながらふと思いました。
    >それにしても今のF&Cはひどすぎます。
    ひどいですよね。F&Cは、進歩がないというより、むしろ退化しているように思えるわけでして。エルフが天下を取る前の90年前後は最高のブランドだっただけに、非常に残念に思います。

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