『Erewhon』は2018年にWIN用として、CLOCKUPから発売されました。
ジェントル佐々木さんの描く一枚絵が魅力的な作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
きっかけは一冊の手記だった。
偶然手に入れた手書きの手記に記されていた【地図にない村】。
そこは――狂い咲く椿、一足早い紅葉、沢山の赤い花々。
気が狂いそうに赤い森に囲まれた山奥の寒村、来待(きまち)村。
青年はその村に来訪神(まれびと)として迎えられる。
ようこそ、おいでくださいました。御廻様(おめぐりさま)。
今年の祭りは二十年に一度の特別な式年大祭でございます。
この者たちは、この特別な年に訪れる御廻様のために生まれ育った斎(いつき)の者たちでございます。
ふたりは毎夜交代で伽に参ります。
村の美しい娘を一夜妻として神に差し出す……これは古代からつづく大切な斎の儀式。
神を歓待するための、神聖な行為なのです。
<感想>
因習の村でマレビトとして奉仕されるADVということで、本作は、多数のHシーンと、伝奇としてストーリーでも楽しめることの両立を図った、CLOCKUPらしい作品になります。
ジェントル佐々木さんの描く一枚絵、特に冒頭のイベントCGの出来が素晴らしく、これは面白いのではという期待を抱かせるとともに、序盤の掴みは十分に良かったです。
ただ、この作品、部分的には良いところもあるのですが、全体的にチグハグであり、端的に言うならば、根本的なゲームデザインに失敗しています。
本作は村の因習を扱った伝奇であり、重苦しいどろどろした雰囲気作りが大事になってきます。
しかし、アヘ顔をはじめとした下品なHシーンの数々が、その雰囲気を台無しにしてしまっています。
CLOCKUPのこうしたHシーンは、作品によっては魅力にも繋がっているのですが、本作に関しては、双方の良さを相殺しているようにみえます。
だから、何かしっくりこないと。
また、Hシーンのバリエーションが豊富なわけでもなく、抜きゲーとして何かにこだわったようにも見えません。
Hシーンが多いというのは、エロゲとしては本来良いことなのでしょう。
しかし本作においては、ストーリーの魅力を削ぐことはあっても、あまり何かにプラスに作用しているようには見えませんでした。
ストーリーについてみた場合、序盤で二人の少女の中から一人を選ばせるのですが、そのうち一人に関しては、ゲーム終盤では存在感が希薄になります。
この序盤の大きな選択とストーリーとを、もう少し密着したものにできなかったのか、その構成には疑問が残ります。
近年のエロゲは、個別ルート構造の弊害により、ストーリーがヒロインに従属するケースが多いです。
それはそれで良いのだとしても、上記のとおり本作では、ヒロインの一人は希薄になっていきますので、特定のヒロイン目当てというプレイには向きません。
つまり本作は、ヒロインに従属するタイプではなく、主人公のストーリーが描かれるタイプなのです。
それにもかかわらず、本作には、ルートロックがあります。
主人公の物語のはずなのに、何もできずバッド前提で、こちらはただ見ているだけというのは、ゲームとして破綻しています。
ノベルゲーが珍しい人もいた20年以上前ならば、鈍い人は誤魔化せたかもしれませんが、いまだにそういうことをするのはナンセンスです。
また、そうしてルートロックをして、製作者の意図するところへプレイヤーを誘導しておきながら、何故か最後はマルチエンディングになっています。
これでは、ライターの主張したいことがぼやけてしまいます。
プレイヤーの選択に委ねたいのであれば、最初からロックなんかしなければ良いのです。
強く伝えたいメッセージがあるのであれば、ロックをかけたりして、プレイヤーを誘導するのも分かります。
良くあるノベルゲーで、最初は複数の個別ENDに行けつつ、最後はトゥルーに収束するというのも、ゲームとしての自由度とライターの主張の両立を図ったゆえの、一つの成果といえるのでしょう。
本作は、いわばその逆の構造であるために、一体何をしたかったのかが伝わってこないのです。
本作は、ストーリーにも力を入れているようですが、後半のCGの大半はHシーンであり、イベントCGがあまりありません。
イベントCGに関しては、ゲーム序盤のCGがピークであり、それを超えるものが終盤にありませんでした。
ゲーム序盤はHシーンに力を入れつつも、ゲーム終盤は、ストーリーの盛り上がるイベントにおいて、
そのイベントCGの割合を増やして、ストーリーを盛り上げるというのならば話が分かります。
本作は逆なんですよ。
終盤の大事なところでイベントCGがないので、序盤のようなインパクトが生まれないのです。
Hシーンを何個か削っても構わないから、もう少しイベントにCGを割けなかったものでしょうか。
<評価>
総合では凡作としておきます。
一つ一つの素材に関しては、良作になりうるだけの素質があったと思います。
しかし、その調理がまるでできていないのであり、これでは作品として成り立っているとはいえません。
部分的には良いところがあるだけに、もっと楽しめてもおかしくないところ、やってみると、なぜかはまりきれなかったという人も、それなりにいると思います。
それは本作のチグハグな構造、製作理念の見えない作り方に原因があると思います。
せっかくの素材を活かすも殺すも、料理人にあたる製作トップにかかってくるだけに、もう少し企画・監督をしっかりすべきように思いますね。
ランク:D(凡作)
Last Updated on 2024-08-12 by katan



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