明日の君と逢うために

2007

『明日の君と逢うために』は2007年にWIN用として、Purple softwareから発売されました。

演出が光った、パープルソフトウェアの代表作ですね。

<感想>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

まずストーリーからみてみますと、神隠しにあったヒロインということで、伝奇方面を期待する人もいるかと思います。
もっとも、この部分は描写はかなり薄いので、伝奇に期待するとあまり面白く感じられないように思います。
そのため、単純に学園恋愛モノ、あるいは萌えゲーと認識した方が、素直に楽しめるのではないでしょうか。

学園恋愛モノとしてみた場合、ストーリーは良くも悪くも普通だと思います。
テンポ良く進むので十分楽しめますし、嫌われる要素もないことから万人向けでもあるのでしょうが、他とは違うと言い切れるほどのものもなかったですから。
本当はストーリーで傑出していることを望みたいところですが、このジャンルでそういうものはもうほとんどないですからね。
そうなると後は個人の好み次第なのと、もう1つは他の面で差異を図れるかで違いが生じるのでしょう。

その点、本作には、他とは違う特徴があったわけで、そのおかげで私はかなり楽しむことができました。
他とは違う特徴、つまりは長所となるべき点なのですが、本作はグラフィックと演出が突出して良かったのです。
立ち絵は種類も豊富だし、場面に合わせて良く動きます。
これだけでも十分に楽しめるのですが、場面によっては背景も動いたりするわけでして。
これには素直に凄いなと驚かされましたし、演出面総合に関して限定してみれば、この年一番の作品だったかもしれませんね。

そういうわけで、ストーリー重視でストーリーしか評価しない人には、あまり合わないゲームだと思います。
もっとも、上記のように特に嫌われるような要素もないですし、テキストもテンポ良く進行しますので、恋愛系の初心者向きとしては非常に適しているのではないでしょうか。
また初心者でなくても、ストーリーだけでなく総合的に判断する人ならば、このパープルのエフェクトの技術は一見の価値がありますし、楽しむことができるように思いますね。

<評価>

総合でも、ストーリーだけなら佳作程度かと思いますが、とにかく動きに圧倒され楽しかったわけで、演出面を評価して良作としておきたいと思います。

最後に1点だけ。
100点満点で70点くらいだったらそれなりに満足できるものの、指摘する点も多くなってまぁ楽しかったねで終わってしまいます。
逆に90点とかになると、残り10点を取るにはって感じで、具体的な課題が見えてきやすいわけでして。
本作の演出は非常に優れていたわけですが、それは立ち絵の動かし方であるとか、背景のエフェクトとかの新しい見せ方の部分を頑張っていたからなんですね。
一方で、古くからある目パチ口パクなどの要素はありません。
そいうのって労力のわりに新鮮さがないので、省かれがちなんですよね。
でも、これだけ動くようになると、かえって目パチ口パクがないのが不自然で、良く動く紙芝居・人形劇みたいな違和感も強くなりかねないのです。
より自然に見せるためには単独では地味で評価されにくいかもしれない、古くからの手法も組み合わせていく必要があるのでしょう。
その点だけが若干気になった作品でもありました。
まぁ、他はこの域に全然達していないので、非常に高いレベルでの注文になってしまうんですけどね。

何だか不満もいろいろ書きましたしストーリーの弱さは気になりますが、それでも全体では久しぶりに満足できた恋愛モノでしたし、動いて笑って素直に楽しめる作品でしたね。

ランク:B-(良作)


Last Updated on 2026-03-01 by katan

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