エーデルヴァイス

2006

『エーデルヴァイス』は2006年にWIN用として、inspireから発売されました。

『femme fatale』の続編であり、シナリオだけを重視するならば、刺さる可能性のある作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
マップ上から移動先を選ぶ要素はあるものの、選べる場所は大半が一か所だけだったり、たまに出てくる選択肢も間違うとすぐ中身の薄いBAD行きなので、実質的に一本道のノベルゲーと考えて良いでしょう。

また『femme fatale』の続編ということらしいですが、あんまり関係なかったような・・・
私が忘れているだけか?
一応つながりがあるにしても、本作からのプレイで問題ないでしょう。

<感想>

時代は大正。主人公は探偵のお嬢さん。
元同級生が自殺し警察は事故と扱うものの、遺族の依頼を受けて調査をすることに・・・って話になります。

犯人の登場時期など、ミステリーとしてはどうかなという疑問はありますが、そもそもあまりそっちに重点が置かれているわけではないのかな。
ストーリーだけを見るならば、特に凄いことをやっているわけでもないし、淡々として盛り上がりにも欠けるので、大して面白くないです。

ミドルプライス作品くらいのボリュームしかないのですが、それでも、もっと削れるように思えるくらいなので、読み応えがあるって作品でもないですし。

むしろ本作は、女性ハードボイルドとされていて、どちらかというと主人公の内面描写に重点がある感じなんですね。
それを描写するテキストが文学風であり、アダルトゲーム業界では珍しいと言えるのでしょう。
テキストに関して言うならば、もし一文だけを切り取ってそこだけを見ると、ゼロ年代前半のエロゲライターの中では上手い方だと思いますし、その時期のシナリオ重視()とかで名が出てきやすいライターらよりは上手いとは思います。
だからストーリー重視ではなくて、文字通りの90年代に用いられていた意味でのシナリオ重視、すなわちテキストを重視するって人に向いた作品なのでしょう。
そのため、文章力云々を言い出すような人は一見の価値がある作品だと思います。

もっとも、個人的な見解を言わせてもらうならば、本作は、後述するようにグラフィック等を活用したシナリオとは言えません。
また、一文だけとか部分的に切り取ってみると凄く良さそうに見えるのだけれど、状況の説明とか不足している部分があり、シナリオ単独で小説として通用するほどでもないわけでして。
ゲームライターが小説家を目指した場合に、大抵はある傾向を有するために壁にぶち当たるようですが、その問題はこのライターにも当てはまりそうなんですよね。
したがって、本作は、グラフィック等を活かしたゲームテキストという観点からも、単独で読める小説としての観点からも、どの角度から見ても少し中途半端になってしまったように思います。

<グラフィック・ゲームデザイン等>

ノベルゲーは小説よりずっと高いものであり、そしてライターの文章力なんかはプロの小説家より低いのだけれど、それでも満足できるのは何故かというと、テキスト以外の付加価値と、それらの相乗効果があるからなのでしょう。

本作の場合は、そういう付加価値がほとんどないのです。
上述のように本作はミドルプライス程度のボリュームしかないですし、実質一本道なので分岐を楽しむという要素もありません。
原画は萌えとはかけ離れていますし、原画が上手い下手はさておき、エロゲとしてエロを求める人向けでもないでしょう。

一応原画とサウンドを含めた全体の雰囲気は良いので、一枚絵を用いた場面での部分的な相乗効果はあるのだけれど、本作はほとんど立ち絵も表示されませんので、プレイ中の大半が背景に下3行テキスト欄という状況で進行し、画面を全然活かせていない上に、プレイしていて実に味気ないのです。
またそのような構造だから、立ち絵とテキストの相乗効果というのも、当然ながら全く期待できません。

背景は豊富ですが、本作のような構造を貫きたいのなら、それこそ画面全体ないし大半をテキストで覆うタイプの方が、私は合っていたと思うのですけどね。
変な所だけ3行スタイルなどという、従来のADVスタイルに安易に当てはめているものだから、無駄にクリック数が多くて読みにくいだけの小説という印象に、どうしてもなってしまうわけで。

<評価>

雰囲気は良いし、悪い作品ではないのでしょう。
っていうか、このシナリオにラノベか小説で出会っていれば、結構面白かったよと感想を書いていたかもしれません。
あるいはフルプライスではなく低価格商品だったならば、それでも一定の満足は得られたと思います。
しかしこの内容でフルプライスでプレイする価値は見出せないよなと思うわけで、元を取れたといえるか微妙なことから凡作としておきます。

本作は極端な例かもしれませんが、こういうフルプライス作品が増えたら、そりゃユーザーも離れてラノベとか小説にいくよなと思ったものです。

そもそも私は、ゲームにおいてシナリオ=テキストしか見ませんというのは、基本的にナンセンスだと思っています。
文章力だけを求めるのだったら、小説読んだ方が良いと考えますから。
しかし、もしエロゲライターの文章力だけに着目するのであれば、プレイする価値のある作品だとは思いますね。

ランク:D(凡作)


Last Updated on 2026-02-22 by katan

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