『薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲ク』は2003年にWIN用として、Cyc Roseから発売されました。
耽美をキーワードにしたインパクトのある作品であり、ゼロ年代前半を代表するBLゲームでした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
もっとも、後述するようにキャラ同士を重ねる変則的なタイプになります。
商品紹介・・・男子学校を舞台にした18禁女性向け耽美ロマンADV。
時代は昭和初期、将来を約束された若き選良達の学ぶ全寮制の男子学校があった。
そこで小間使いをしてる主人公は、時折訪れる勉学の機会に喜びを感じながら、平和な日々を送っていた。
だが、ある日の夜更け、主人公は背後から音もなく近づいてきていた何者かに薬をかがされ無理やり犯されてしまう。
数日後、主人公と親しい教師の手元に、主人公が陵辱されている現場を移した写真が届けられる。
差出人の名は「花喰ヒ鳥」。やがて、主人公は謎の人物を探し始め、幾人かの学生達が自分が犯された現場を目撃していたり、話を聞いていることを知る。
そして、動揺した主人公に、教師は「辱めを受けた事実を漏らさぬために、彼らを同じ目に遭わせればいい」とつぶやく。
教師の言いなりになって、学生たちを陵辱していくのか、それとも彼らとの信頼をきづいていくのか・・・。
<感想>
サイクは作品の傾向により、幾つものレーベルを使い分けています。
その中でも本作は、女性向け作品を製作するサイクロゼから発売された、いわゆる18禁BLゲームでした。
サイク系列の作品は個人的には気になる作品が多かったので、ブランド初期の頃からプレイしています。
もっとも、最初の頃は、楽しめることは楽しめるけれど、特別に面白いってほどでもない、小粒な佳作を量産するイメージが強かったです。
レーベルの一つであるブラックサイクには、後に大好きな作品も出てきますし、エログロならブサイクと世間の評価も非常に高まるものの、それも2004年以降の話なわけでして。
また、18禁BLゲー全体を見渡しても、まだジャンルの黎明期であり、ゲームが出ること自体がありがたく、作品の質は物足りないものが大半でした。
だからそんな状況の中で、2003年に本作が出てきて、非常に評判が良いっていうのが、正直信じられなかったわけでして。
今振り返れば失礼な話なのだけれど、サイク系でそんな凄い作品が作れるのか、精々BLゲーの中ではマシな方って程度じゃないの?って、少し疑っていたんですね。
しかし、いざやってみれば、確かにこれは面白いなって。
キーワードに耽美とありますが、耽美系の作品が個人的に好みというのもあるものの、この方面でここまで作り込まれた作品はなかったわけでして。
耽美系は、やっぱり男性向け作品よりも女性向け作品の方が、躊躇いなく存分に作れるのかなと、そんなことを思ったものでした。
ライターの草壁祭さんは、男性向け作品も幾つか出しています。
例えば今なら、『ゴアスクリーミングショウ』辺りが代表作になるでしょうか。
確かにそれらの作品も十分に面白いのだけれど、ライターの真骨頂であるとか、実力をフルに活かせる場は、耽美系を中心とした女性向け作品なのでしょうね。
後の2011年には『神学校』を出して、それも非常に高評価を得ていますが、幾つかの男性向け作品よりも、本作や『神学校』の方が数段面白く感じますから。
もし草壁さんの何かしらの男性向け作品の方をプレイして、それでライターの実力を勝手に決めつけて本作をプレイしていないのであれば、一度先入観を捨てて本作をプレイしてもらいたいものです。
女性が楽しめるのはもちろんのこと、男性でもその妖しい魅力に引き込まれてしまうでしょうから。
<グラフィック>
この耽美で妖しい雰囲気を作り出しているのは、シナリオだけでなくグラフィックや演出の力もあるのでしょう。
CG単独で見ても凄く良いのですが・・・何だろうな~
CGだけ切り取ってみると、プレイ中のインパクトほどではないんだよな~
つまり、そこまでのシナリオのもっていき方や演出による見せ方とか、様々な要素が結合し上手くかみ合っているということなのでしょう。
だからゲームプレイ中に見る、一枚絵のインパクトは強烈なんですよね。
その魅力にゾクゾクってきてしまいます。
本作をプレイしたのは実は大分後で、しかも普段は男性向け中心にプレイし、男性向けの一枚絵に衝撃を受けることは近年はほとんどないのですが、本作のCGは一枚一枚から作り手の魂が伝わってくるようでした。
つい画集とかまで欲しくなるタイプなんですよね。
そんな気持ちになることは、近年では珍しいです。
<ゲームデザイン>
それと、本作の特徴としてはゲームデザイン面にもあります。
本作はブラックサイクの『闇の声』(2001)のシステムを踏襲しています。
そう言えば、もう分る人は分ると思うのですが、キャラの顔が描かれたカードを別のキャラのカードに重ね、そのカップリングによりイベントが発生するシステムなのです。
ところで、男性プレイヤーの場合、受けとか攻めとかにこだわる人は少ないです。
今は百合ゲー好きも多く、百合ゲーも幾つもあるものの、女の子らのどっちがネコでどっちがタチかとかこだわる人も少ないし、選ばせる作品もほとんどないです。
そういう観点からは女性向け作品の方が先んじていて、BLゲーでは受けと攻めを選べる作品が幾つもあります。
本作は、その選択を視覚的にも表現していて、カードを重ねればカップリングが成立、上に重ねた方が攻めとなるのです。
『闇の声』の時からこのシステムの可能性に期待して、それで闇の声シリーズもプレイしてきましたが、結局のところ、一番活かせたのは本作だったのかなと思います。
また、通常のノベルゲーと異なるシステムで、非常に多くのカップリングやシナリオパターンが生じうるにもかかわらず、それを破綻させることなくまとめた点も凄かったと言えるでしょう。
<評価>
というわけで、多くの点で非常に優れていた本作。
当時のBLゲーの中で突出していたのはもちろんのこと、男性向け女性向けという枠を取っ払って一本のADVとして見ても、非常に優れた作品でした。
したがって、総合でも十分に名作といえるでしょう。
ただ、確かに客観的にみると傑作級の完成度を有しているのですが、フルボイスでないことによる若干の中途半端さであるとか、ゲームデザイン面は褒めてはいるものの、このライターの魅力だけを引き出すのであれば、普通のノベルゲーの方が良かったのではという、身も蓋もないような思いもありまして。
かように幾つか気になる点があったことから、厳しいかもしれませんが名作ではあっても傑作には及ばないって印象でした。
まぁ私個人の感想は別として、ゼロ年代前半のBLゲー的には、最高峰の一つと言えることは間違いないですからね。
古いゲームということを考慮できる人には、男女問わずぜひプレイしてみてもらいたいものですね。
Last Updated on 2025-08-20 by katan



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