『EXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~』は2006年にWIN用として、Black Cycから発売されました。
ブサイクの代表作であり、ゼロ年代後半の中では最高のノベルゲーでした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・‘櫻井夢美’(主人公)は、ごく普通の家庭に生まれ、ごく普通に暮らしてきた少女だった。
そんな彼女が、蟲使いの一族から抜け、はぐれの蟲使いとなった‘煉悟’と、それを追う同じく蟲使いの一族の刺客・‘サユリ’との戦いに巻き込まれたことによって、人生の歯車が狂い始める。
両親を失い、自らも煉悟に囚われ身となった夢美は、その煉悟の飼う異形の蟲たちを生むための母体「苗床」にされ、凌辱される日々が続いた。
しかし、そうした無間地獄は唐突に終わりを告げた。
監禁生活から脱出し、自由を得た夢美だったが、その傍らには自分の産み落とした蟲が、まるで母親に甘えるように寄り添っていた・・・・・・。
<感想>
一言で小説といっても、その種類は無数にあります。
小説にもっとも近いジャンルであるノベルゲームもまた、種類が無数にあってもいいはず。
でも実際にみてみると、似たような作品が多く、市場に流れている種類は案外少ないです。
ノベルゲーが占有率の面で全盛期を迎えたのは2000年からですが、その2000年が最も幅広く多くのジャンルがあった気すらします。
※以後は年々、売れ線のジャンルに偏っていきますしね。
『EXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~』、このゲームをプレイしたときに真っ先に思ったのは、こういうゲームはそういえばなかったよなって事。
小説では少なからずありますよね。
登場人物の一生や半生を扱った作品って。
しかし、ゲームでその人の半生を真正面から扱い描ききった作品は、これまでにあったでしょうか?
時を越えたり、突然舞台が未来になってその後の姿を垣間見るというのはあったけれど、所詮オマケ程度な扱いだったと思います。
そのため、主人公の半生を、そして生き様を、見事に描ききったこの作品は、とても新鮮に見えたものです。
上記のとおり『EXTRAVAGANZA』は、ボロボロにされながら現実を必死に生き抜いていく、一人の少女の半生を描いた作品です。
過酷な現実に立ち向かっていく一人の女性の半生。
少女から大人へと成長していく姿を追いかけ、そしてクリアした時には、きっとその年月の重みに感慨深いものがあるでしょう。
ゲームって、自分の人生とは別の、他人の人生を疑似体験させてくれますよね。
その素晴らしさを再確認させてくれた作品でした。
<ゲームデザイン>
本作は、一本の読み物としても、十分に満足度が高かったです。
もっとも、小説だと一本道なのに対し、本作はノベルゲームであり、選択肢を選ぶことで物語は分岐していきます。
ちなみに、本作の場合、分岐の数もかなり多く複雑なのですが、チャートがあるので自力でクリアできますし、やり応えも結構あります。
したがって、アダルトゲームのノベルゲーの中でも、ゲーム性は高い方と言えるでしょう。
さて、ここで注意すべきは、本作が最近のノベルゲームと異なるという点です。
最近のノベルゲーは、選択肢を選んでいくことにより、各ヒロインごとのルートへと入っていきます。
でも、本作はそうではありません。
描かれるのは主人公の姿であり生き様です。
誰かのルートに入っていくのではなく、選択によって主人公のその後の人生が変わっていくのです。
選択肢によってその後の流れが変わっていくという意味では、PC98時代によくあった分岐枝分かれ型のノベルゲームと似ていますね。
分岐枝分かれ型のノベルゲーは好きなので、単純にこの手のジャンルってだけでも嬉しいのですが、それだけならば個人的には好きであっても、高く評価はできません。
そもそも、昔の枝分かれ型のノベルゲーは、間違った選択肢を選ぶと、即バッドエンドにつながることも多かったです。
そうなると、酷い終わり方でも重さが感じられないですよね。
しかし、本作は主人公の半生を描いた作品ですので、現実同様に即バッドで安易に終わらせてはくれません。
誤った行動をとってしまったのならば、それ相応の結果が続くことになるわけで、つまりあなたの選択により、より過酷なその後の人生が待ち構えているのです。
<グラフィック>
蟲たちの苗床として陵辱され続けることから始まった、主人公の過酷な人生。
その激しさはテキストだけでなく、グラフィックからも存分に伝わってきます。
そもそもブラックサイクは、そのグロさや過激さで、一部のユーザーから熱狂的な支持を得たブランドです。
そしてその過激さは、本作でも健在です。
当時はエログロと言えばブサイクでしたが、ここは期待通りといったところでしょうか。
したがって、以前からのファンなら満足度も高くなってとても良いと言えるのですが、逆にこのグラフィック面の過激さは、初心者にはきついかもしれません。
まぁHP上にあるCGを見て大丈夫なら、おそらく問題ないとは思いますけれどね。
このエログロ関連で一つ補足しますと、他のブサイクの作品とは異なる傾向として、触手プレイが多いことが挙げられます。
触手好きには喜ばしい傾向なのですが、この傾向ゆえに更に人を選んでしまうおそれはありますね。
また、グラフィックに関してはエログロばかりに注目しがちですが、年月が経つにつれて、きちんと主人公の容姿が変わっていくのも好印象でした。
当たり前っちゃぁ当たり前のことなのかもしれませんが、これが意外と出来ていないところが多いですから。
<キャラ>
ここまで触れてなかったけれど、本作にはある意味最大の特徴があります。
本作が主人公である「夢見」の半生を描いてた作品であるとは、繰り返し述べています。
その夢見は、物語の冒頭で、蟲の子供を産まされます。
そして夢見は、当然ながらその存在を拒否します。
でも、蟲君にとって夢見は母親なのです。
嫌われ無視されながらも母親(夢見)を慕い、時には必死に庇おうとする蟲君の健気な姿。
最初は気持ち悪い存在でしかなかったはずの蟲君が、クリア時にはきっと可愛くてしかたがなく思えるでしょう。
それはブサイクのHP上の人気投票でも1位を取った事が証明しています。
アダルトゲームで女性を差し置いて、蟲が1位を取るって他にはないでしょうからね。
それくらい存在感が際立っていたわけで、『EXTRAVAGANZA』は夢見1人だけの物語ではなく、夢見と蟲君の親子の歴史でもあるのです。
<評価>
個人的にはゼロ年代後半以降の10年近くで、一番高く評価しているノベルゲーであり、本当に素晴らしい作品でした。
文句なしに名作といえるでしょう。
例え数年に一度であっても、こういう作品にたまに出会えるから、アダルトゲームはやめられないのです。
ランク:AA(傑作)

Last Updated on 2026-02-18 by katan




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