道化師殺人事件

1985

『道化師殺人事件』は1985年にPC88用として、シンキングラビットから発売されました。

シンキングラビットの代表作であると同時に、80年代中盤を代表するADVの1つになりますね。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド入力式ADVになります。

あらすじ・・・
ロンドンから南へ50マイル、古くからの港町ブライトンに巡業中のサーカスの一座があった。
テントも張り終え、あとは開幕を待つばかりのその日の朝、ピエロの死体がシャワーワゴンで発見された。
死因は背中から心臓に達するナイフの一突き。
シャワーの水が出しっぱなしになっていて、血はきれいに流されてしまっていた・・・。
そこでロンドン警視庁は、スコットランドヤードのミントン警部を捜査にあたらせた。

<感想>

『道化師殺人事件』というゲームがあります。
このゲームは古いにもかかわらず、セガサターン等各機種に移植されたりもしているので、存在自体は知っている人も案外多いかと思います。
しかし、リメイク版で初めてこのゲームに触れた人の多くは、このゲームを面白いと感じられなかったのではないでしょうか。

かつて名作と言われた作品が、時を経て今日では通用しなくなったというような場合も多いでしょう。
しかし、全ての作品がそうであるわけではありません。
というのも、リメイクによるシステム変更により、駄目になったケースもかなり多いのです。
そして『道化師殺人事件』もまた、そんなシステム変更で長所が削られた作品の一本だと考えます。

そもそも、オリジナルの『道化師殺人事件』はコマンド入力式ADVでした。
コマンド入力式ADVは、理論上だけで言うならば、高い自由度を有するという長所を持ちます。
しかし現実的には、そううまくいかないものでして。
こちらが仮にいろんなコマンドを入力してみても、制作側の用意した答えと関係がないコマンドを入力した場合には、何も反応してくれないことが多かったのです。

何の反応もないスカばっかりじゃ、やっててつまらないし、ストレスだって溜まります。
そのコマンド入力式ADV特有の問題を解消しようとしたのが、本作なのです。
全部とは言えませんが(そんなのは物理的に無理ですしね)、プレイヤーが打つであろうコマンドのほとんどに対し、本作では、コンピューター側の対応を準備してくれていたのです。

とりあえず何かコマンドを打てば、何かしらの反応が返ってくる。
これはね、やってて楽しめるかの点で本当に大きいですよ。
反応の少ないゲームをやった後だと、更にそのありがたみは増しましたね。
RPGやSLGと同じように、ADVにだってADVとしてのゲーム性の高い低いはあるわけで、ADVにおける狭義のゲーム性の高さの一つは、こうした部分にあると思います。
そういう意味で本作は、実にゲーム性の高い作品であり、この時代を代表する名作と言えるのでしょう。

しかしながら、リメイクされるにあたり、本作はコマンド選択式になりました。
コマンド選択式では、どんなコマンドを入力しても反応があるという、本作の最大の長所が完全に消されてしまいますからね。
だから当然、面白いわけがないのです。

今更こんな20年以上前のゲームをやる人がいるかは分かりません。
ただ、このゲームの名作たる所以が何なのか疑問に思う人がいたのなら、こういう理由だったんだよってことだけは知っておいてもらいたいですね。

さて、本作の最大の特徴は狭義のゲーム性の高さにあるわけですが、他の部分だって劣ってはいません。

パッケージのピエロの絵からも伝わってくるように、ゲーム中のグラフィックもまた色鮮やかでした。
しかも、主人公視点でスクロールまでしましたし。
臨場感というか、感情移入の点でこれは大きかったですね。

ストーリーもシンキングラビット製ですからね。
当然ながら抜かりはありません。

<評価>

総合では名作と言えるでしょう。

こうしてふり返ってみると、実に隙のない見事な作品でしたね。
だけど、手元の資料を見ると私はAとしているのです。
何か昔の自分、厳しくないか…?

おそらく、こういうことでしょうね。
私は分析するのは好きですが、何だかんだ書いてるわりに案外狭義のゲーム性を重視していません。
『オホーツクに消ゆ』によるコマンド選択式の確立、『賢者の遺言』による入力式と選択式の融合、『ジーザス』による新時代の到来・・・
そんな風に、新しく変わっていく様を重視するのです。
そうなると、本作のように既存のシステム・作風の円熟を図った作品は、相対的に評価が沈んでしまう傾向にあります。
ぶっちゃけ、地味なんですよね。
だからこそ、この評価につながったんでしょう。
私はクオリティよりオリジナリティを求めるタイプですから。
でも逆に、オリジナリティよりクオリティを求める人ならば、本作は間違いなく傑作足りえたのではないでしょうか。

ランク:A(名作)

道化師殺人事件

Last Updated on 2026-02-25 by katan

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