『大きな栗の木の下で ~僕と彼女と水泳と~』は2017年にWIN用として、STUDIO KOMから発売されました。
頭身の高いキャラに、100枚を超える基本CGの数ということで、個人的には凄く好みな作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
主人公の高明は泳ぎが苦手でいつもイジメられている。
ある日、諦めて水泳部の部室を飛び出すが、その時偶然、片思いの美夏とぶつかってしまう。
事情を聞いた美夏は高明に泳ぎを教えてあげると約束する。
こうして高明の一夏の小さな恋が始まる…。
<グラフィック>
何の情報も得ることができない中、この作品に興味を持った理由は、グラフィックにありました。
まずはキャラデザですね。
本作のキャラは頭身が高めであり、90年代中盤頃までのアニメとかに多かったタイプになります。
私は、炉利も好きではありますが、本質的には少し頭身が高いくらいの絵の方が好きであり、今のエロゲの高校生と言いつつ小学生にしか見えないキャラは、正直なところストライクゾーンのど真ん中とは離れてしまいます。
したがって、好きな絵柄となると、90年代中盤の頃の美少女の絵となるのです。
本作は、今風の絵ではありません。
人によっては、古臭いタイプの絵に見えてしまうことでしょう。
しかし、個人的には好きな絵柄であり、久しぶりにこういう作品に出合えたように思いました。
それから、本作において注目した点として、一枚絵の枚数が挙げられます。
何でも、基本CG105枚で、CG総枚数は288枚、それでいてプレイ時間は1時間程度とのこと。
そうなると、一枚絵の出てくる頻度が高いと推測され、それで興味を持ったわけです。
エロゲに対し、「紙芝居」と例える人がいますが、以前はその例えも理解できましたが、今はそう例えるのは間違っているように思います。
というのも、確かに80年代には、一枚絵をひたすら見るタイプのノベルゲーがあり、それはまさしく紙芝居でした。
90年代後半以降もノベルゲーが増えましたが、90年代後半のノベルゲーでは、一枚絵の質の向上に重点が置かれており、その点を重視するのであれば、紙芝居と言えるのでしょう。
しかし、ゼロ年代以降、一枚絵の向上は優先度が下がり、それどころか進化が停滞してしまい、そのかわりに立ち絵の向上に力が注がれるようになりました。
また、クリアまでの全体のプレイ時間が伸びる一方で、一枚絵の枚数はプレイ時間に比例しなかったこともあり、ゲームをプレイしていて一枚絵の出る頻度が減り、立ち絵でシーンを処理する時間が大半になっていったのです。
そうして出来上がっていった作品は、一枚絵がたまにしか出て来ないのですから、いわゆる紙芝居として連想されるものとは異なっており、むしろ人形劇に近いものといえます。
だから昔のノベルゲーに対し紙芝居というのは構わないとしても、今のノベルゲーに対しては、人形劇と言わないと実情を反映していないように思うのです。
このように人形劇型ノベルゲーが氾濫する今日において、本作は、まさしく紙芝居型ノベルゲーでした。
1時間程度のプレイ時間の中で、100枚以上のCGが表示されるわけですからね。
一枚絵が次々と出てくる光景は、人形劇ではなく紙芝居なのです。
まぁ、紙芝居と人形劇とで、どっちが上とか、本質的には優劣はないですけどね。
ただ、人形劇の時代になってからも長いので、いかにも紙芝居って感じの作品は逆に珍しく、プレイしていて新鮮に感じられました。
<感想>
ストーリー自体は、普通のボーイミーツガールですね。
全体のボリュームが少ないこともあり、無駄な要素やだれる要素もなく、最後まで一気に楽しめるのですが、他方で、一つのストーリーとして盛り上がるためには、どうしてもボリューム不足と言わざるをえないわけでして。
トータルでは、価格も考慮すれば、可もなく不可もなくといったところなのでしょう。
<評価>
非常に小粒な作品ということもあり、総合では佳作としておきます。
しかし、セール中に買えばワンコインで買えますからね。
そう考えると、価格に対するプレイ時間は決して短いものではありません。
他方で、CG枚数はフルプライス級なわけですから、CG枚数の観点からはコスパは抜群に良いと言えます。
したがって、その辺を重視するのであれば、良作扱いでも構わないと思います。
また。主観的にも、一周して逆に新鮮に感じられたということで、良作扱いでも良いのかなという気もしますね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-08-15 by katan
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