『ヴァーストニス(VASTNESS) ~空虚の生贄達~』は、1993年にPC98用としてホーリーウッドから発売されました。
美少女ゲーム誌の「パソコンパラダイス」が製作した、オムニバス作品でした。
<パソコンパラダイス>
1991年に日本初のアダルトゲーム専門誌として発売されたのが、「パソコンパラダイス」(通称パソパラ)でした。
もう何年も前に休刊になってしまったので、今ではパソパラを知らないエロゲーマーも増えたかもしれません。
しかし、老舗であるだけでなく、一時期は最大手として、アダルトゲーム専門誌の中でも、最も有名な存在だったのです。
ちなみに私自身は、全種類の雑誌を購入していた時期などはパソパラを購入していたものの、どちらかというと「バグバグ」とか「P天」とか、別の雑誌を買うことが多かったので、あまり熱心な読者ではなかったかもしれません。
とはいえ、一般には「パソパラ」が最大手だったことは確かなのでしょう。
そして、そのパソパラが製作したのが、この『VASTNESS(ヴァーストニス) ~空虚の生贄達~』でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系のADVで、3つのショートシナリオからなるオムニバスADVでした。
1993年はオムニバス作品が増えた年であることからすると、本作はいかにも1993年らしい作品とも言えるのでしょう。
3つのシナリオは、それぞれ以下のとおりです。
「学校の治め方教えます」・・・女子校を舞台にしたレズゲー
「診療室は秘密が一杯」・・・女医さんとのエロ
「Platonic Sadist」・・・未亡人:絹江の性遍歴
なお、上記の内、最初の2つは一本道のノベルゲーであり、最後の「Platonic Sadist」にだけ、選択肢による分岐がありました。
<感想>
まず、「学校の治め方教えます」は、女子高を舞台にしたレズゲーになります。
PC98時代はレズゲーも定番ジャンルの一つでしたので、
オムニバスの中にレズシナリオが含まれることもまた、
この当時らしい傾向と言えるでしょう。
次に「診療室は秘密が一杯」は、普通のエロ作品になります。
今風に言えば抜きゲーになるのでしょうね。
以上の二つだけだと特に目立つところもない作品で終わるのですが、
本作の一番の存在価値は、3つ目のシナリオである「Platonic Sadist」にあるのでしょう。
「Platonic Sadist」は、未亡人となった絹江が自分の性遍歴を回想しながら、それを主人公に語りかけるという構造になっています。
発端となったのは、絹江がまだ小学生の頃。
ある日、家に帰ると、絹江の母親が犬上家のスケキヨのように逆立ち状態になりつつ、全裸で股を左右に全開にして、その体勢で股間にバイブを入れてオナニーをしています。
その光景に、生まれて初めて性的衝撃を受けた絹江。
・・・そりゃまぁ、衝撃受けるわなw
初プレイ時、そのグラフィックを見て、思わず噴き出しそうになりましたよ。
そこからまぁ、痴漢をされたり、自慰を覚えたり、普通の女の子っぽく恋愛をしてみたりと様々な経験をするわけでして。
即ち本作は、絹江の小学生時代から結婚に至るまでの間、少しずつアブノーマルなHに目覚めていく姿を描いた作品なのです。
淡々と過去を語る様子と、そのディープな中身とのギャップが、独特の雰囲気を醸し出していましたし、サウンドやグラフィックの魅力も相まって、妙に印象深い作品でしたね。
余談ですが、ノベルゲーで人生とか言い出す人がいるけれど、アダルトゲームで人生云々を語るのであれば、こういう幼少期からの性遍歴を描いた作品こそ、該当するのではないでしょうか。
本作においては、上記の3つ目のシナリオの存在感が一番なのですが、他にもグラフィックにも若干特徴があります。
本作は、イベントCGと部分アニメーションで成り立つ作品でした。
その中でも、画面を二分割や三分割、最大で四分割にして使用することもありました。
分割された画面のうち、一方は静止画にしつつ、他方はアニメーションで動いたりする等、その使い方にも工夫がみられ、これは上手いなと思ったものです。
こういう表現の仕方は、今のエロゲではほとんど見かけないように思います。
もちろん、画面を分割したからといって必ずしも良いとは限らないのですが、少なくとも本作においては、とても上手く使わていたように思いましたし、とても印象深かったです。
<評価>
以上のように、魅力的だったり特徴的な点もある作品なのですが、非常に小粒でボリュームの少ない作品でもあり、その点がどうしてもマイナス要素となってしまうでしょうか。
そのため、総合ではギリギリ良作となります。
マニアックな内容かつ低ボリュームということで、合わない人は全く楽しめないおそれはあるものの、個人的には印象深い作品でしたね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-09-20 by katan



コメント
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こんばんは
1年振り(?)ですね
パソコンパラダイスは、私も読んでいました
90年代当時はPCを所持していませんでしたが、色々(お宝マーク)とお世話になっておりました
読者参加企画やコミカライズもあり、また18歳未満でも買えたので、エロゲを遊べない人でもこれとメガストアを買っていた人は周りに多く、PCを持っていた人は概ねBugBug読者でした
大手になれたのは、PCを持っていない人も楽しめる良い雑誌だったのが大きいのかもしれませんね
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こんばんは
私も1年振り(?)になります
私は、ファンタジェンヌを主に購読していました
美少女ゲーム誌も案外読者層が異なりそうで興味深いです
周りだとゲーマー層が買うのは主にテクノポリスとP天で、オタっぽい人はパソパラとメガストアを買っていました
TECHGIANとeloginはWin以降の新規ユーザーでしょうか
書店によっては置いてないものもあったので、確実にこれとは言えませんが
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> としあきさん
そうなんですよね。
私はあまりパソパラは購入しなかったのですが、それでも、読み物として一番充実していたアダルトゲーム雑誌は何かと聞かれたら、迷うことなくパソパラだと答えると思います。
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> (回ω回)さん
この当時の美少女ゲーム誌の購買層を調べてみるのも面白そうですね。
古くからのゲーマーだとテクノポリスに愛着あるでしょうし、攻略情報が欲しければP天でしょうね。
私は、何か1冊買ったうえで、2冊目としてファンタジェンヌというパターンが多かったように思います。1冊だと情報の漏れがあるのですが、ファンタジェンヌと組み合わせると網羅できるような感じで。コスプレに興味があれば、ファンタジェンヌが筆頭候補になったかなと思います。