the Black Box

2003

『the Black Box』は2003年にWIN用として、SPIELから発売されました。

この時期にしては珍しい、P&C式のミステリーADVでした。

<概要>

ゲームジャンルはポイント&クリック式ADVになります。

あらすじ・・・
神鳥真一郎は、父親は既に他界し、義母の幸と、義姉・真希と一緒に暮らしていたが、上京して警察官になり、ひとり暮らしをしていた。
しかし、警察での仕事も1年ほどで辞めてしまい、今ではバイトしながら、本当にやりたいことを模索する毎日を過ごしていた。
ある日、実家に戻った真一郎は、義母から義姉の様子がおかしいと聞かされ、彼女の嫁ぎ先である田舎の大地主・方丈家を訪ねることになった。
義姉に特別な想いを抱いていた真一郎とって、自分に何も告げずに結婚してしまったことも、少なからずショックであった。
ちょっと様子を見て帰れば良いと思っていた真一郎だったが……。

<感想>

今世紀、或いは90年代末からADVを始めた人にとっては、ADVは恋愛ゲームという印象が強いのかもしれません。
しかし、80年代からADVにはまった私のような人ならば、大抵が推理物の印象を抱くのではないでしょうか。
何だかんだ言っても、私は推理物が大好きなのでしょうね。
そして、システム的にはP&C式のADVが好きなのです。

端的に言うと、本作はそういうゲームなのです。
移動マップで移動先を選択し、カーソルであちこちクリックしながら物語を進める。
ストーリーも田舎を舞台にしたサスペンス物。

昔からADVをやっている人には王道すぎる構造かもしれませんが、近年はこういうゲームが本当にないんですよね。
だから、もう遊べるってだけで嬉しくなってくるのです。
そういうわけで、主観的にはかなり応援したくもなるのですが、それと作品の良し悪しは当然異なります。

ストーリーは骨太でがっしりしたミステリーで、十分に楽しめました。
派手なトリックだけで見掛け倒しなミステリー物も増えている中で、落ち着いて楽しむことができましたしね。
だから特に叩くところもないのですが、だからと言って、逆に名作だと言い切れるほどには優れてもいなかったわけでして。

システムも他のノベルゲームよりはADVをやったって満足感があるのですが、優れた他の同系統のゲームと比べると、まだまだ練りこみが足りないですしね。
加えて、細かなシステム周りも貧弱で、ちょっとしたことでストレスがたまりがちでしたし。

もっとも、それでもグラフィックやサウンドが優れていれば、昔のADVを今風にアレンジした作品として評価することも出来るでしょう。
振り返れば『クロス探偵物語』や『ミッシングパーツ』だって、特別に新しいシステムがあったわけではないですからね。
システム的な斬新さがなくとも他の長所があれば、それはそれで名作にもなりうるわけです。

でも、本作は音声はないし、グラフィックも非常に地味だったわけでして。
本当にこれが2003年のゲームなのかって思ってしまう、そんな雰囲気を漂わせていたんですよね。

どの部分も、決して単独では欠点ではないのです。
でも、強烈な長所とまでは言えないわけで、だから全体としては薄めの印象になってしまったのです。

まぁ、当時の推理物にはあまりなかった分岐の要素がありますからね。
これが97年頃までに発売されていたら、もう少し高く評価したのかもしれないですけれど、ちょっと遅すぎましたね。

<評価>

十分楽しめて満足もできたけど強烈な長所もないということで、総合的には良作ってところでしょうか。

シナリオにしか興味のない人には合わないと思いますが、昔ながらの推理ゲームに飢えている人ならば、最低でも元は取れるゲームだと思うんですよね。
2003年はガッカリしたゲームが多かっただけに、余計にもこのゲームが救いでありました。
本作は続編の話もあったのですが、残念ながらブランドがなくなってしまったようです。
最近は手薄な分野ですし、期待していただけに残念でしたね。

ランク:B-(良作)


ダウンロード版
the Black Box

Last Updated on 2025-06-15 by katan

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